雪中キャンプのすすめ

2019年10月21日

キャンプ入門 薪ストーブ 雪中キャンプ

t f B! P L

一般的に、キャンプシーズンは、4月下旬から10月下旬となっています。
理由は、それ以外の季節は寒いからです。

富士山が見えることで有名な、ふもとっぱらキャンプ場を調べてみると、最低気温が4月で約4度、11月で約6度ぐらいなので、この寒さの中でテントで寝るのは、普通に考えてもかなり寒いです。


ですが、寒さを克服すれば、キャンプオフシーズンがオンシーズンとなります。冬キャンは、キャンプ場が空いている、空気が澄んでいて星がキレイ、雨が少ない、虫がいないなどのメリットもあります。

さて、そんな冬キャンですが、私が是非お勧めしたいのが雪中キャンプです!!

雪中キャンプをすすめる理由


雪中キャンプの話をすると、たいてい「バカなの?死ぬの?」と言われるのですが、やり方さえ間違えなければ、ある意味最も楽しいキャンプです。

私は、スキーやスノボなどの所謂ウィンタースポーツは全くやらないのですが、雪遊びは大好きです。40歳を過ぎたおっさんが、小学生の娘と雪合戦している姿は、はたから見ればある意味イタイですが、本人は面白いのですから仕方がありません。

また、雪を使ったクラフトも色々と楽しめるため、そういう意味でも雪遊びはとても楽しいです。雪中キャンプに興味がある方には、絶対おすすめするのがイグルー作りです。


きれいに作ろうとするととても難しですが、アバウトに雪を切り出して作ってもそれなりにできてしまうので楽しめます。私は出身が大阪ですので、大雪やかまくらなどとは縁が無かったこともあり、雪中キャンプのイグルー作りが楽しくて仕方がありません(苦笑)。
プラ製のそりがあると、更に雪を楽しむことができます。


キャンプ場内などでも除雪でできた雪山がよくありますので、そりで遊ぶと特に子供は大はしゃぎです。また、そりは遊ぶだけでなく、物を運ぶのにも活躍しますので、1つは持っておきたいアイテムです。キャンプ場によっては貸し出ししている場合もあるので、事前にチェックしておくと良いです。


さて、いくら雪中キャンプが楽しいといっても、万全な寒さ対策を行わなければ冗談抜きで死んでしまいますので、そこは事前準備が大切です。私が毎年利用している猪苗代湖のキャンプ場(猪苗代湖モビレージ)でも、だいたい最高気温-3度、最低気温-10度ぐらいですので、終日冷凍庫の中にいるようなものです。

雪中キャンプを快適に行うためのポイント

ほぼ必須の電源サイト

私の雪中キャンプスタイルですが、まずは「電源サイト」を利用することです。
電源サイトであれば、ホットカーペットが使えるため、多少シュラフが貧弱でも暖かく寝ることができます。サイトの電源容量に余裕がある場合は、これに電気毛布をプラスすれば、上下から暖められるので、使うシュラフによってはむしろ暑いぐらいです。

テントはTCかコットンがおすすめ

次に、テントです。テントはできるだけ、TC(テクニカルコットン)かコットンを使いましょう。ポリエステルのテントは、どうしても内側が結露するのが難点で、特に夜中は気温が下がるため、結露が凍りついたりして快適とは言えません。
また、ポリエステルは熱に弱いため、テント内でストーブなどの暖房を使う時にかなりの注意が必要です。逆に、特にコットンのテントであればかなり火に強いので、安心して薪ストーブをガンガンに焚けます。
ただ、この辺はスタイルにもよるので、防火対策を万全にしてスノーピークなどの2ルームテントで薪ストーブを使っている方もいます。2ルームテントは、気密性が高く、フライシートとインナーテントのダブルウォール構造により、ティピー型などのシングルウォールに比べて、断熱性を高めることができます。ちなみに、アルピニストの野口健さんは、コールマンのウェザーマスターシリーズ(おそらくコクーンII)をベースキャンプで使用されています。

テントについて詳しくは下記も参照ください。
雪中キャンプのテント選び

冷気対策は空気断熱を心掛ける

3番目は、とにかくグランドの冷気対策です。通常のようにグランドシートの上にテントを建てただけだと、とても冷たくて座ることもできません。冷気対策にはとにかく断熱が重要になります。断熱を考える上で最も重要なのが、空気断熱です。空気は熱伝導率がとても低いため、空気の層があると高い断熱効果が得られます。この空気の層を意識することで効率よく断熱することが可能です。
私のお勧めは以下の組み合わせです。

断熱のためシート類を3重に敷いた状態

上:ラグマット・こたつマットなど
中:銀マット(15mm程度の極厚の物)
下:プチプチシート

まず、一番下にプチプチシートを敷きます。ここで地面(雪)からの冷気を一次防衛します。敷く時は、プチプチをグランド側にすると、より効果的です。
プチプチシートはかさばりますが、これをテントのフロア部分とマットの間に挟み込むことで、空気の層ができて断熱効果がアップします。大判のプチプチシートは、ホームセンターなどでロール状のものが測り売りされていますので探してみてください。


次に、銀マットを敷き詰めます。銀色の面が片面だけの場合は、銀の面を上にしてください。テント内の熱を反射し、地面方向へ逃げるのを防ぎます。

一番上には、ある程度の厚みがあって空気を多く含むラグマットを敷きます。特に毛足の長いラグマットは暖かく、そのまま寝そべっても気持ちが良いのでお勧めです。こたつマットなども、それなりに断熱性があるのでお薦めできます。テントの付属やオプションであるテントマットは、あまり断熱性が良く無いので、テントマットを使う場合でも、上から更にラグマットを敷くことをおすすめします。
銀マットは滑りやすいので、マットの裏側に滑り止め加工されているものがベターです。こたつマットが無い場合は、毛布でも代用可能ですが、歩いているとずれてくるので、ちょっと面倒です。

これだけ敷き詰めれば、高い断熱効果が得られるので、冷気も殆ど感じません。敷き方ですが、できればテントの雪に接している部分は全て敷き詰めましょう。全体を断熱することで、テント内に冷気が入ってこなくなるだけでなく、グランドの雪が溶けることも防止できます。
雪中キャンプの最大の注意点が、テントのグランド部分の雪が溶けてくることです。グランド部分の雪が溶けると、床面がぼこぼこになったり、テントが沈んだりします。特にワンポールテントの場合は、雪が溶けてポールが沈み込むので、20×20cm程度の板材を敷いておくと良いです。

テント内の暖房について

便利で快適な石油ファンヒーター

実は、電源サイトであれば石油ファンヒーターが使えるので、とても快適にキャンプをすることができます(ある意味グランピング状態)。石油ファンヒーターは、火力が高くとても暖かいので、大型のテントでも1台で快適に過ごすことができます。注意点は、石油ファンヒーターは、強い振動を与えると灯油が漏れやすいため、持ち運びの際は別途灯油缶に移しておく必要があります。




電源無しでも使える石油ストーブ

電源が使えないサイトの場合は、石油ファンヒーターが使えないので、昔ながらの石油ストーブになります。石油ストーブは、熱量はファンヒーターに劣りますが、電源が不要なので災害対策にもなります。
石油ストーブには、反射板のあるタイプ(反射型)と、無いタイプ(対流型)の2種類があります。

反射型は、ヒーターの熱をステンレス等の反射板で反射して本体の前面を温めてくれるタイプです。もちろん熱は上昇しますので、天板も熱くなりますが、熱を反射板で反射することで、ストーブの前も温かくなります。




一方の対流型は、主にヒーターで温まった空気が上から出ていくことでテント全体を温めます。反射板が無いため、周囲にいてもあまり暖かくならないのが欠点ですが、熱で発電するタイプの薪ストーブ用ファンを天板に置くことで、温かい空気を前面に送ることができます。特に天井が高いタイプのテントは、天井付近に暖められた空気が滞留して、なかなか全体が暖かくならないという欠点がありますが、ファンで空気をかき混ぜることで対流型の欠点を補うことができます。私は、トヨトミレインボーと組み合わせて、テンマクデザインのサーカスコットンver.の中で使っていますが、けっこう暖かくて快適です。
この、薪ストーブ用ファンを使う方法は、反射型でも有効ですので、石油ストーブと合わせて導入することをおすすめします。







ストーブについて詳しくは下記も参照ください。
冬キャンプに向けたストーブの選び方

炎が魅力の薪ストーブ

さて、最もハードルが高いのが薪ストーブです。薪ストーブは、最も火力が高く、温かい暖房器具です。テント内では、ちょっと炊いただけで軽く20度を超え、ガンガンに炊くと30度以上になるため、雪の中でもTシャツ1枚で過ごせるという、とてもシュールな状態になります。薪ストーブは、ストーブ全体と煙突から輻射熱が発生するので、テント内全体を温めることができます。そのため、石油ストーブのところで紹介した薪ストーブ用ファンも薪ストーブなのに不要です(笑)。また、薪ストーブは調理にも使えるため、これ1台でバーナーも不要になります。


問題は、火事対策です。テント内での薪ストーブの利用はNGと言われている理由は、一酸化炭素中毒ではなく、火事になる恐れがあるからです。薪ストーブは、煙突でテント外に排煙するため、一酸化炭素が発生しても煙突から出ていきます。そのため、石油ストーブなどに比べると一酸化炭素に関するリスクが低く、安全です(酸欠にはなるので換気は必要)。問題は、燃焼中は本体温度で200~400度、煙突は焚き方にもよりますが600度近くになることもあります。これらの熱は、輻射熱として全体に放射されるため、設置方法が悪いと、テント幕が煙突などに接していなくても燃えることがあります。また、特にポリエステルのテント幕は熱に弱いため、煙突から出る火の粉で幕に穴が空く場合もあります。
最近は、煙突ポートの付いているテントが増えてきましたので、そういったテントを使うとより安全です。以前は、ogawaのピルツ15T/Cが、国産で唯一煙突ポート付きのテントでしたが、今では様々なテントが発売されています。




あとは、薪代がバカにならないという点です。だいたい1日中炊くと、薪4~5束は消費するため、2泊3日で雪中キャンプをすると、薪代が軽く5,000円を超えます。また、薪はかさばるので、そうでなくても物の多い雪中キャンプでは、車載スペースに苦労します。
さて、色々マイナス面もある薪ストーブですが、テント内で焚火をしているようなものですので、焚火好きにはもってこいのアイテムとなります。暖かいだけでなく、テント内で見る薪の炎がとても魅力的です。

薪ストーブについては下記も参照ください。
薪ストーブをテントの中で使う方法と注意点

キャンプで使える薪ストーブの選び方とおすすめの薪ストーブ13選

正しい薪ストーブの使い方

以上、暖房器具を紹介しましたが、テント内での使用にあたっては、こまめな換気を心がけてください(薪ストーブを除く)。1時間に1回空気を入れ替えるぐらいの換気が理想ですが、入口付近とベンチレーターを空けておくだけで、空気の流れができて換気になります。テント内の暖房は、一酸化炭素だけが注目されていますが、酸欠や二酸化炭素にも注意が必要ですので、小まめな換気を心掛けましょう。
換気のやり方などの詳細は、下記にまとめてありますので、ご参照ください。
テント内でのストーブ使用は危険?換気と一酸化炭素中毒について詳しく解説

雪中キャンプは寝る時が一番大変!?

雪中キャンプとなると、夜中の最低気温はマイナス10度にもなることがあります。どんなに暖かい薪ストーブでも、寝ている間は薪の補給ができないため、朝まで焚き続けることができません。石油ストーブであれば、換気にさえ気を付ければ使用できますが、それでもかなりの寒さ対策が必要となります。
ホットカーペットは、直接体を暖めることができるので、かなり快適に寝ることが出来ますが、お腹側は直接冷気にさらされるので、寒さ対策は必須となります。
そこで重要となるのが、シュラフ選びです。春・秋のキャンプは、5度まで対応の3シーズンシュラフと言われる物で十分ですが、氷点下の中で寝るとなるとそれなりのシュラフが必要となります。
おすすめは、0度~-5度対応のシュラフと3シーズンシュラフを組み合わせて使う方法です。シュラフの重ね着で、かなりの断熱効果を発揮することができます。詳しくは下記をご参照ください。
賢い冬キャンプのシュラフ選び


まとめ

  • とにかく雪を満喫しよう。
  • テントはTCかコットンが結露なしで快適。
  • 地面(雪)からの冷気は空気断熱で対処しよう。
  • 暖房器具は石油ファンヒーターかストーブ。焚火好きなら薪ストーブに挑戦しよう。
  • シュラフを重ね着するなど工夫しよう。

以上、私の雪中キャンプスタイルについてのご紹介となりますが、いかがでしょうか。
もし興味を持っていただければ、まずは最低気温が10度以下になる環境で冬キャンをしてみてください。その環境で、それなりに過ごせそうであれば、雪中キャンプに挑戦してみてください!


最期に、1つ。

実は、私の大好きな焚火と雪中キャンプはあまり相性が良くありません。

焚火で雪が溶けるから?

いいえ。

寒さ対策に防寒具を着込みまくっているため、焚火に当たっても、ちっとも暖かくないからです(苦笑)。

プライバシーポリシー及び免責事項

QooQ