雪中キャンプのテント選び

2019年11月6日

テント 薪ストーブ 雪中キャンプ

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雪中キャンプをする時に重要となるのが、テント選びです。
テントの種類や大きさは、使用する暖房器具、積雪量、天候などによっても左右されます。

私の愛用のテンマクデザイン サーカスコットン。
薪ストーブを入れているので中は天国(笑)。

まずは、雪中キャンプでよく使用されているテントをご紹介します。

2ルームテント

出典:スノーピーク

2ルームテントは、リビングと寝室の2室構成になっているテントのことです。基本的には、自立式で大型のフライシートを設置し、その中に寝室用のインナーテントを設置します。リビングは地面そのままの状態になるため、雪中キャンプの場合、雪がむき出しの状態になります。
フライシートとインナーテントでダブルウォールになっており、気密性も高いため、保温性の面ではシングルウォールよりメリットがあります。
雪中キャンプを前提とする場合、積雪や吹雪などを考慮すると、できるだけ頑丈な上級モデルを選ぶことになりますが、2ルーム型はどうしても雪が積もってしまうため、定期的に雪下ろしを行う必要があります。

コールマン ウェザーマスター コクーン3


ウェザーマスターシリーズは、過酷な自然環境での使用に耐えるように設計されたハイスペックモデル。フライシートの耐水圧が約3,000mm、フロアアシートの耐水圧が約10,000mmと高く、フレームもメインポールは19mm径のアルミ合金製と抜群の強度を誇る。特にフライシートとフロアシートは、210D(デニール)のオックスフォードのため、摩擦に強く、引き裂き強度も高い。
アルピニストの野口健さんも、ヒマラヤ山脈登山のベースキャンプとして愛用している。

2020年に、2から3へとモデルチェンジ。3への進化点は、インナーテントが結露に強いポリコットンに変更されていることと、インナーが追加できるようになったこと。ほぼシンメトリカルデザインで、インナーが左右どちらでも吊り下げられるため、天井のクリアウィンドウを気にしなければ、本体を建ててからインナー位置を変えることも可能(詳細レポートはこちら)。
コクーンは、ランドロックを超える大きさのため、大きすぎる場合は、一回り小さなカーブという選択肢もある。

※デニール:糸の太さ(重さ)を表す単位。値が大きいほど位置が太く、強度が高いが、その分重量が増加する。
※オックスフォード:生地の折り方の1種。縦横2本ずつ交互に交差させた平織りで、耐久性に優れる。

サイズ(cm):縦670×横400×高さ220
対応人数:4~6人
重量:30kg

コクーン3の詳細はこちら

カーブの詳細はこちら

スノーピーク ランドロック

スノーピークのテントの中で最大のモデルであり、不動の人気を誇る2ルームシェルターの名作。風に強いフレームワークと快適な居住性により、オールシーズンでの使用が可能。
車で言うところの「いつかは、クラウン」と同様、「いつかはランドロック」とも言われる(?)。
ルーフ部は耐水圧3,000mmミニマムの150Dポリエステルオックスフォード、フロアシートは耐水圧1,800mmの210Dポリエステルオックスフォードで、ポールも19mm径のアルミ合金製と高い耐久性を誇る。

サイズ(cm):縦625×横405×高さ205
対応人数:6人
重量:22kg




オガワ ティエラ5-EX

オガワを代表する2ルームテント。オガワ独自のスイベルジョイントにより、大型の2ルームテントとしては建てやすい。側面6ヵ所にY字形の張綱を装備することで、風に対する強度を高めている。フライシートは、ポリエステル210Dを使用し、耐水圧1,800mmに達する。グランドシートには、完全防水で安心なPVC(耐水圧10,000mm以上)を使用。
2020年モデルからは、インナーが結露に強いポリコットンに進化。
ティエラシリーズは、小型(3-4人用)のリンド、リビングを100cm延長したラルゴもある。

サイズ(cm):縦555×横310×高さ195
対応人数:5人
重量:21kg




オガワ アポロン

オガワが満を持して発売したトンネル型テント。トンネル型の特徴であるアーチ状のフレームに加え、屋根に3本のフレーム通っているため、高い強度と剛性を誇る。
全長225cmに達する広いリビングをもち、吊り下げ式インナーテントを装備。大型全面メッシュを採用しているため、夏でも風通しが良く、オールシーズンで活躍するテントでもある。フライシート、グランドシート共にポリエステル210d(耐水圧1,800mm)。

サイズ(cm):縦435×横320×高さ188
対応人数:5人
重量:21kg




ティピー型

出典:テンマクデザイン

円錐型(多角錐型)のテント。テントの真ん中に1本のポールを立てて、それで幕全体を支えているため、ワンポールテントとも言われる。円錐形をしているので、テントの端の方は幕に当たるため、物を置く程度にしか使えず、立て付け面積に対して室内の有効面積が狭い。派生型として、テントの端を垂直に持ち上げることで有効面積を増やしたベル型がある。
ワンポールテントは、構造上雪が積もりにくいため、積雪に強い。また、薪ストーブ用の煙突ポートが有るモデルもある。

オガワ ピルツ15 T/C

もはや、オガワの代名詞となりつつあるピルツシリーズのT/C(テクニカルコットン)バージョン。T/Cとは、ポリエステルとコットンを混紡した素材で、通気性・吸湿性に優れているため、結露しにくい。
テントは、モノポールテントで、グランドは八角形。ベンチレーターは、頂上部と下部両側面にあるので、テント内の換気を自由にコントロール可能。
グランドシートは、テント本体にトグルで固定するタイプのため、ファスナー方式に比べると気密性に劣るが、オプションのインナーを使うと、ダブルウォールテントとして使えるため、2ルームテントのような使い方も可能。
国産テントとしては、唯一煙突ポートが有るモデルでもある。
フライの耐水圧が350mmと低く感じるが、これはポリエステル210dとコットンの混紡のためで、使用上の問題は無い。また、トップベンチレーションは、ポリエステル600dと十分な耐久性があり、グランドシートもポリエステル210d(耐水圧1,800mm)となっている。

サイズ(cm):縦430×横430×高さ310
対応人数:8人
重量:17.6kg




テンマクデザイン サーカスコットンバージョン

アウトドアストアのWILD-1のオリジナルブランドであるテンマクデザインのワンポールテント。テントとしては珍しく100%コットンを採用しており、生地も厚めでしっかりしている。そのため重量があり、同サイズのT/C版に比べ幕体重量が約2.8kgも重くなっている。
煙突ポートは無いが、出入口のビスロンファスナーが上下2か所にあるため、上からファスナーを空けて煙突を出すことができる。
フロア形状が5角形のため、大きさの割には有効面積が狭い。また、フロアシートが無いため、別の製品の物を流用するなどして工夫する必要がある。スカートをしっかり雪に埋めないと、隙間風がとてつもなく冷たい。
人数表記が無いが、大人であれば3~4人相当。

サイズ(cm):縦420×横420×高さ280
重量:13.5kg




ノルディスク アスガルド

ノルディスクは、白熊のマークで有名なデンマークのアウトドアブランド。
アスガルドは、テント端を垂直に立ち上げたベル型テントのため居住性が高く、入口はAフレーム構造のため出入りがしやすい。幕体の生地は、耐水圧が350mmのテクニカルコットン。
煙突ポートは無いが、多くのベテランキャンパーに愛用されており、冬キャンプの定番ともいえる。サイズは、3人用の7.1、6人用の12.6、10人用の19.6の3種類がある。
注意点としては、ジッパーで着脱可能なフロアシートが別売のため、雪中キャンプをする場合は必ず同時購入すること。

商品名:NORDISK(ノルディスク) アスガルド12.6
サイズ(cm):縦375×横400×高さ250
対応人数:6人
重量:16kg




テンティピ ジルコンCP

海外メーカーのワンポールテントで、ノルディスクと人気を二分するのが、このテンティピのジルコンCP。テントの素材は、Cotpolmex C.というコットンとポリエステルの混紡素材。
メーカーの触れ込みでは、テント内で焚火ができるとあり、煙突ポートも付いているので、薪ストーブを使いたいキャンパーには必見のテント。
サイズは5、7、9、15の4タイプ。アスガルドと同様、フロアシートが別売となっているので注意が必要。

商品名:TENTIPI(テンティピ) ジルコンCP 7
サイズ(cm):縦400×横400×高さ270
対応人数:6人
重量:16kg
https://www.pharus.net/tentipi/



オプションのテンティピ ポーチ コンフォートを使うと広い前室が作れ、雪中キャンプなどの寒い時は、出入りの時に冷気がテント内に入る事を防ぐことができる。




ローベンス クロンダイク

ローベンスは、デンマークのテントブランド。デンマーク本社のテストセンターには、最大風速200キロを計測する380馬力の風力発生機と降雨マシンを導入し、テントの性能テストを行っている。
クロンダイクは、そんなローベンスを代表するベル型テント。居住性に優れ、入口のAフレーム構造もアスガルド同様に出入りがしやすい構造。テントの素材は、ローベンス独自開発のHydro Texポリコットン。フロア部は、耐水圧5000mmのポリエステル生地で、ジッパーにより取り外し可能。
煙突ポート(16cm径)も標準装備されているため、薪ストーブも使用可能。
サイズは、6人用のノーマルと、9人用のグランデの2種類。

商品名:ROBENS(ローベンス) クロンダイク
サイズ(cm):縦400×横400×高さ270
対応人数:6人
重量:16.1kg




アクティブに雪を楽しむ2ルーム型と、まったり雪を楽しむティピー型

さて、雪中キャンプでどういったスタイルで楽しむかによって、2ルーム型とティピー型に分かれます。2ルーム型は、リビングは雪上ですので、ブーツを履いたままで暖をとることができます。逆にティピー型は、全面フロアに防寒対策をしてお座敷スタイルが向いています。

極寒の中で寝袋一つで寝るようなエクストリームなキャンプスタイルでない限り、雪中キャンプでは、石油ストーブや薪ストーブをテント内で使います。2ルーム型であれば、リビングで使うことになりますが、問題は暖房の熱で雪が溶けることです。2泊3日などでキャンプを行った場合、リビングの雪がどんどん溶けて水たまりになったりします。あまりに溶けすぎると、雪を足して固めたりという手段を取ることになりますし、リビング内が水浸しと言うのはブーツや長靴を履いているとはいえ、あまり気持ちが良い物ではありません。

一方、ティピー型の場合は、フロアシートがあるので、雪と直接接触しません。更に、フロア全体をきっちり断熱することで、雪からの冷気を遮断しつつテント内の暖気が雪に伝わって溶けることを防止することができます。
但し、このスタイルでは、テントに出入りする時にブーツや長靴を脱がなければならず、結構な手間がかかります。雪深い場合は、スノーガードなども付けているため余計に脱ぐのがめんどくさくなり、一旦テントに入ると出たくなくなるという問題が起こります(苦笑)。
2ルーム型であれば、リビングでもブーツを履いたままですので、暖を取ったり食事をしたりする時も、いちいち脱がなくていいので楽です。ですので、頻繁にテントに出入りして雪をよりアクティブに楽しむなら2ルーム、時々外で遊んであとは暖かいテントの中でまったり過ごすならティピー型となります。ちなみに我が家は、まったり派なのでティピー型です。
あと、テント購入に当たって気を付ける点として、どれぐらいの大きさのものを買うかというのがあります。大きいほど解放感があり、荷物を置けるなどのメリットもありますが、雪中キャンプ最大の問題である暖房効率を考えると、なるだけ小さい方が良いです。


私は、薪ストーブをメインに使うのでクロンダイクグランデを購入しましたが、とにかくデカいので、トヨトミレインボー(石油ストーブ)1台では全然暖かくなりません。一回り小さいクロンダイクにしておけば良かったかなと、ちょっと後悔しています。
(デカいので、張れるキャンプ場が限られてくるというのも難点です。)

メリットとしては、2畳のホットカーペットを敷いても余裕があることです。電源サイトであれば、お座敷スタイルでぬくぬくまったりモードで雪中キャンプができます。

2畳のホットカーペットをフロアの片側に余裕で敷くことができる。
写真に写っているぬいぐるみは娘の眷属(笑)。

クロンダイクグランデに関する詳細リポートはこちら

薪ストーブを使う場合は、コットンかポリコットンのティピー型がお勧め

薪ストーブを使う場合は、火の粉が飛ぶので、幕体はコットンかポリコットンが良いです。ポリエステルなどの化繊は熱に非常に弱いため、薪ストーブの煙突から出る火の粉で幕体に穴が空くことがあります。そもそも、薪ストーブは、煙突から火の粉が出るほどガンガンに炊くのはNGなのですが、慣れないうちは薪をくべすぎたりすることもあると思いますので、コットン系の幕体の方が安心です。
欠点は、オガワのロッジシェルターやカーカムスのテントなどを除いて、殆どがティピー型という点です。コットン系の素材は重くて伸縮性に乏しいため、2ルームやトンネル型が作りにくいのかもしれません。ただ、薪ストーブを幕内で使うことを前提とするのであれば、ティピー型は合理的な型です。
薪ストーブを使う上で最大の課題が煙突ですが、ティピー型であればポールに沿って煙突が立てられるので、安全性の面で非常に優れています。特に煙突ポートの無いテントを使用する場合は、出入口や通風窓から煙突を出すことになりますが、この時に煙突を横に伸ばすことになります。煙突は本体以上に熱を帯びるため、横に伸ばした煙突に幕体が触れないように幕除けなどを設置しても、煙突からの発熱で幕体が溶けたり燃えたりすることがあります。
また、煙突を横に伸ばすと、縦方向はその2倍以上の長さにしないと十分なドラフト効果(熱い煙が煙突の中を上昇すること)が得られず、外気が煙突から逆流(バックドラフト)することもあります。
各テントメーカーが、ティピー型以外のテントで煙突ポートがあるモデルを出していないことからも、安全性に配慮していることが伺えます。


以上が、雪中キャンプに向いているテントのご紹介となりますが、最期に1つ。
テントへの積雪には注意しましょう。特に、夜中に雪が降っている時は注意してください。強靭な2ルームでも、積雪でテントが倒壊する恐れがあります。ティピー型は、基本的に雪が積もらないので安全ですが、ベル型は気を付けないと、Aフレーム部分などに積雪するとフレームが折れることもあります。


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