OLFA WORKSからフルタングナイフSANGA(サンガ)が新発売!果たして買いか?

2021年3月10日

topics ナイフ沼

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世界的なカッターナイフメーカーのOLFAが、OLFA WORKS(オルファワークス)という新ブランドでアウトドア業界に打って出たのが丁度1年前のこと。私も、早速購入し、色々と使ってみました(詳細はこちら)。


色々と課題もあるけれど、OLFAらしい独自性のあるラインアップが面白く、発展性もあるので今後に期待できるナイフでした。その後、ブッシュクラフトBK1のレザーケースが出た程度で、音沙汰がありませんでしたが、新たにフルタングナイフを、2021年4月28日にリリースするとのこと。一体どういったナイフなのか、詳細を確認してみました。


出典:OLFA WORKS


アウトドアナイフ SANGA(サンガ)

オフィシャルサイトには、サンガの由来は書かれていませんが、「日本の森には、日本のナイフ。」をキーワードにしていることからも、サンガ=山河だと思います。

まあ、そんなコンセプトはさておき、早速スペックを確認してみましょう。


・寸法

ナイフ単体/全長230mm×全幅32.5mm×全厚22.5mm (刃渡り100mm)

シース収納時/全長239mm×全幅44mm×全厚40mm

・重量

ナイフ単体/127g

シース収納時/164g


出典:OLFA WORKS


刃厚3.2mmのフルタングとされていますが、モーラのガーバーグと同じくラップドタングです。

ブレード形状は、標準的なユーティリティーブレードで、コンベックスグラインド。写真で見る限り、コンベックスとは言え、この刃厚でかなり鎬(しのぎ)の少ないハイトグラインドなので、フラットに近そうです。また、セカンダリーエッジがガッツリついていることからも、バークリバーのようなハマグリ形状は期待できなさそうです。


サンガとモーラナイフを比較

出典:OLFA WORKS

コンパニオンヘビーデューティーステンレス


刃厚3.2mmと言うと、モーラのコンパニオンヘビーデューティー(以下コンパニオン)やガーバーグなどと全く同じです。特に、コンパニオンは、全長約224mm、刃長約104mmですから、ブレード形状を除けば、殆ど同じです。違いは、ラップドタングかナロータングかだけで、それが23gの差になっているのでしょう。

サンガのグリップデザインは確かに凝ってはいますが、実用面から言うとあまり意味はありません。形状がストレートで、ヒルトも小さいため、握りやすさにおいて、おそらくコンパニオンに劣るでしょう。

価格面で見ると、6,600円のサンガと、3000円以下のコンパニオンでは倍以上の差があり、ラップドタングの剛性がこの価格差を埋めているのかと言われると微妙です。一方、ガーバーグは最安値のプラシースモデルで9,350円ですから、これに比べれば安いと言えます。

あとは、鋼材の差ということになるのですが、サンガの鋼材が明らかにされていないのが気になります。この価格帯ですから、鋼材は6Aか8Aでしょう。6Aだと硬度や耐摩耗性において、コンパニオンの12C27以下、8Aならガーバーグの14C28Nと同等といったところでしょうか(硬度は熱処理によって変わるので、あくまで目安)。


サンガの鋼材がOLFAより正式発表

【2021/3/20追記】

OLFAから鋼材に関する発表が3/18にありました。鋼材は6A(AUS-6)とのことです。


https://www.olfa.co.jp/news/2842.html


6Aは、愛知製鋼が製造している刃物鋼材で、実用硬度は55~58とナイフ鋼材としては低めで、主にハサミや3000円前後の安価な包丁などに使われています。6Aは420系ステンレスと競合関係にあり、420系は、安価なナイフで使われている鋼材です。

んんー、悪い予想が当たりました。実は、替刃式ブッシュクラフトナイフ BK1は、420J2が使われているので、サンガも同等の鋼材を使ってくるのではと危惧していたのです。

中級クラスのナイフを目指すのであれば、8Aを使うべきでしたが、6Aだと切れ味やエッジ保持力、耐摩耗性において期待できません。ですから、木をガシガシ削ったり、フェザースティックを大量に作ったりという作業には不向きです。切れ味とエッジ保持力という、フェザースティックを作る上で重要となるスペックについて、モーラの炭素鋼モデルには到底及ばず、ステンレスモデル(12C27)にも劣るので、「日本の森には・・・」というキャッチコピーは、正直どうだろうと思ってしまいます。


コンベックスでフルタングだが

最近、どうもコンベックス神話があるようで、コンベックス=切れ味が良く耐久性が高いという風潮がありますが、切れ味は、最終的なブレード角、鋼材、研ぎで変わって来ますし、刃厚が同じなら、ハイトグラインドのコンベックスより、ブレード角が鈍角なスカンジグラインドの方が耐久性があります。エッジ保持力についても、コンベックスだから良いのではなく、エッジの角度の問題であり、そういう意味では、刃厚の薄いサンガにセカンダリーエッジが付いているのは好感が持てます。因みに、コンベックスの代表格ブラボーの刃厚は、5,5mmです。

フルタングについてですが、確かにナロータングより耐久性があります。近年、バトニングで薪を割るのが流行っているので、それを狙ってフルタングにしているのでしょう。でも、バトニングに対する耐久性は、タング以外に刃厚、刃幅、鋼材など複数の要素があり、フルタングだから大丈夫という話ではありません。それに、そもそも、薪の割りやすさというのがあります。

薪を割るには、刃厚とエッジ角が重要になります。鉈を見れば分かる通り、刃厚が厚く、エッジ角が鈍角なほど、薪を割る力があります。はっきり言って、刃厚3,2mmのハイトグラインドコンベックスでは、割る力はたかが知れているので、広葉樹を割るような本格的な薪割りには向きません(本格的なバトニングナイフについてはこちらを参照ください)。

モーラのガーバーグは、刃厚はサンガと同じ3.2mmですが、エッジ角が25度前後あるので、割る力はサンガよりあります。また、刃長が109mmと9mm長いので、刃先を叩くバトニングでは有利です。たかが9mmなんて僅かなことに感じるかもしれませんが、キャンプ場で売っている広葉樹薪は、物によっては直径10cm近くあるので、この僅かな差で割れる割れないが決まります。

OLFA WORKSの公式サイトにバトニングしている動画がありますが、割っているのは杉のようですから、この程度であれば、フルタングである必要は全くありません。杉などの針葉樹薪は、簡単に割れるので、モーラのコンパニオンでも充分です。逆に言うなら杉薪を割る程度なら、フルタングはオーバースペックです。


結局サンガは買いか?

サンガは、フルタングとは言え、刃厚、ブレード形状など、総合的なバランスを考えると、私には正直微妙なナイフです。私は、ナイフを30本以上持っていますが、それは、各ナイフには向き不向きがあるからです。オールマイティのナイフなど存在せず、利用目的に合わせて最適なナイフを選ぶことが肝心なのです。一方で、ナイフとは汎用的な刃物ですから、調理から薪割までオールマイティで出来ることが理想です。そういった意味では、サンガは、比較的軽量コンパクトなライトユースなナイフであり、軽い薪割までこなせる利用範囲の広いナイフと言えます。

色々と批判的なことも書きましたが、キャンプユースということで言えば、充分使えるナイフだと思います。本格的なブッシュクラフトには物足りないですが、このナイフであれば、周囲に対する威嚇性も低いですから、人目を気にせず使えるというのも大きなメリットです。実は、本格的なデカいナイフは、ファミリーの多いキャンプ場ではぶら下げて歩き回ることが憚られるのです(苦笑)。

いずれにせよ、商品企画としては、キャンパーを中心に人気の高い、モーラのコンパニオンとガーバーグの間を埋める製品に位置し、ライトなフルタングという意味では、いい所を突いてきたと思います。






ただし、それはこいつが無ければの話です。


出典:ユニフレーム


ユニフレームの、UFブッシュクラフトナイフです。

全長約230mm、刃長約110mm、刃厚3.5mm、重量約150gのこのナイフ、フルタングではありませんが、スパイン側はグリップエンドまでタングの通ったハーフタング。鋼材は8Aで、スカンジグラインドとくれば、スペック面では文句なし。そして関謹製のMade in Japan。なのに価格は、破格の5,500円!!

※2021年2月1日の価格改定により5,900円に値上がり


明らかに、サンガはおろか、ガーバーグも完璧に食われています

そのため、去年の年末に発売されて、速攻で売り切れてしまったぐらいです。


詳しくはこちらをご覧ください。


OLFAさん、タイミングが悪すぎたよ(´・ω・`)


やっぱり、ここはカッターナイフメーカーとして、替刃のバリエーションを増やす方に進んでほしいと思います。



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