UFブッシュクラフトナイフはバトニングにも使えるキャンパー向けナイフの決定版!

2021年9月17日

ナイフ沼

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私は、これまで色んなナイフを使ってきましたが、遂に「これだ!」と言えるナイフが現れました。

UNIFLAMEのUFブッシュクラフトナイフです。



このナイフ、2020年末の発売直後に大人気となり、入手困難な状況が続いていました。私も6月末にようやくWILD-1で入手。以来、色々と使い倒してきましたので、じっくりとリポートしたいと思います。


UFブッシュクラフトナイフはキャンプに最適なシースナイフ

結論から言ってしまえば、UFブッシュクラフトは、最もキャンパーに向いているナイフです。アウトドアナイフと言えばモーラナイフのコンパニオンヘビーデューティーやガーバーグが有名ですが、それらと比べても、性能、品質、コスパの全てで上回っています。

これまで、30本以上のナイフを使ってきた私からしても、これ1本で殆どの場面がクリアできる使い勝手の良さは、コスパも考慮すると、他のナイフの追随を許しません。


最大のポイントは、刃長110mm、刃厚3.5mmと、最も汎用性に富んだサイズ感のハーフタング(ナイフの柄の中に通っている鋼材が少し細くなっている)という点です。

先ずは、スペックを確認しておきましょう。



  • 全長:約230mm
  • 刃長:約110mm
  • 刃厚:3.5mm
  • 刃幅:約27mm
  • 重量:約150g(ナイフのみ)
  • 鋼材:8A
  • ハンドル材:ポリプロピレン
  • グラインド:スカンジグラインド


実はこれ、スペック的にはモーラナイフのガーバーグとモロ被りです。


上がUFブッシュクラフトナイフ
下がガーバーグ


  • 全長:約229mm
  • 刃長:約109mm
  • 刃厚:約3.2mm
  • 重量:約170g(ナイフのみ)
  • 鋼材:ステンレススチール(14C28N)
  • ハンドル:ポリアミド


ガーバーグと異なるのは、UFブッシュクラフトナイフ(以下UF)がハーフタングという点だけです。


ハンドルのお尻から突き出た鋼材の幅が、ガーバーグの半分程度。


ガーバーグは、モーラ初のフルタング(厳密にはラップドタング)で、よりハードに使えるナイフとしてキャンパーにも人気のナイフです。


一方、UFはハーフタングですから、ハンドル内の鋼材はナイフの刃幅の半分程度になります。強度的には、ハーフタングよりフルタングの方が高いのは当たり前ですが、その分重くなり、重量バランスも悪くなる傾向があります。


お尻(バット)から突き出たタングの幅は17mm


UFは、ガーバーグより少し厚めのブレードですが、ハーフタングのおかげで重量的には少し軽く仕上がっています。

重量バランスは、丁度ハンドルの窪み部分に来るように調整されており、持ち重りせず取り回しやすく仕上がっています。ガーバーグも決して悪くはありませんが、バランスの良さはUFが上回っています。

問題は、フルタングと比べた時の耐久性ですが、刃厚3.5mmのナイフであれば、これで十分です。誤解を恐れずあえて言うと、キャンプでフルタングを求めるのは、バトニングで薪割りをするためです。



バトニングは、薪の上からナイフの刃をあて、スパイン(峰)を思いっきりぶっ叩く行為ですから、ブレードのつけ根に力が集中します。そのため、モーラのコンパニオンシリーズのようなタングが細いナイフでは、根元から折れる可能性があります。

勿論、杉などの針葉樹であれば、簡単に割ることができるので、コンパニオンシリーズでもバトニング可能ですが、火持ちの良い広葉樹の薪はとても堅いので、フルタングのように、鋼材がブレードからお尻まで太さが変わらず入っている、頑丈な物が必要となります。


その点、ガーバーグはフルタングですから、広葉樹でもバトニング可能です。ところが、刃厚があまり厚くないので、割ることができる薪は限定されます。バトニングは、ナイフのブレードで薪を割り拡げていくので、厚みがある方がクサビ効果が高く、有利になります。鉈は5~6mm前後の厚さがありますから、それに比べるとガーバーグやUFは刃厚が半分強しかありません。そのため、割る力はあまり高くなく、バトニング可能な薪も自ずと限定されます。


薪の途中で、挟まれたまま抜けなくなったガーバーグ。
上から刃厚約7mmのKA-BAR BK2を打ち込んで救出している。


私の経験では、ガーバーグでバトニング可能な市販の広葉樹の薪は、6~7割といったところです。結局、フルタングの強靭性を活かすには刃厚が薄すぎるため、ガーバーグのフルタングはオーバースペックとなります。

一方、UFはハーフタングですから、3.5mmの刃厚に丁度良い耐久性ということになります。逆に言えば、このナイフでブレードが折れるような薪は、どんなに頑張っても割れないということになります。そういう意味で、UFのハーフタングと言うのは、絶妙なバランスに設計されていると言えます。


ファイヤースターター(メタルマッチ)が使えるスパイン


最近、キャンプでもブッシュクラフトを意識した焚火が流行っており、ブレードのスパインでメタルマッチを擦れるのが、必要スペックになりつつあります。メタルマッチの火花は、軽く1000℃を超えるため、ブレードのエッジなどに火花が散ると、刃を痛めることになるので、個人的にはあまり使いたいとは思いませんが、擦れるのならそれに越したことはありません(笑)。


ファイヤースターターの火花がブレード面全体に飛んでいる。


UFは、スパインが鋭角になるように加工されているため、ストライカーとしても優秀です。実はこれ、おそらく仕上げの段階で、角を立てるためにわざわざ削り出していると思われます。


表面を研磨加工してあるので、ぬめっとした輝きがある。


UFは、表面が研磨加工されているため、鏡面とまではいきませんが、結構つるっとしています。これは、食材を切ったりする時の汚れ落ちや、油ぎれの良さにつながるので良いのですが、ブレード全体を研磨加工するとスパイン等の角が落ちてしまいます。


ブレード付け根の拡大写真。
ブレード側のスパインは角が立っているが、ハンドル側は角が丸くなっている。


そのため、ストライカーとして使えるようにする場合、角を付け直さなければならなりのですが、その一手間を惜しんでいないのは、この値段の製品としては素晴らしいと言えます。


あえてハンドルから上側に出ているハーフタング


一方、タングは、ハンドル面にツライチではなく、少し出ています。この出ている所は、しっかり角が落ちているため、握っても痛くありません。一見、タングをハンドル面にツライチで埋め込んでしまえば、こんな手間をかけなくても良いように思えるかもしれませんが、実はバトニングにあたっては、タングが出ていることに大きな意味があります。



バトニングは、刃先を薪などで叩きながら割っていきますが、割り進むうちにブレード側に大きく傾いてしまうことが多々あります。そんな時は、タング側を叩いてナイフを水平に戻すことになるのですが、ハンドル面にツライチだと、ハンドルを痛めることになります。特にポリプロピレン(PP)などのプラスチックだと、割れたりするため、耐久性の面で課題となります。



ところが、タングが数ミリでも出ていれば、ぶっ叩いてもハンドルには直接ダメージはありませんから、遠慮なくバトニングすることができます。


高い切れ味と耐久性


さて、ここまでバトニング性能について色々と書いてきましたが、UFもナイフですから切れ味が重要です。

先ず、切れ味に関しては文句無しに良く切れます。箱出しでの切れ味は、モーラのガーバーグを凌ぎますし、ハイテク鋼と呼ばれる粉末冶金鋼などと比べても遜色無いぐらい良く切れます。切れ味の良し悪しは、コピー用紙を切ると良く分かりますが、スーッとキレイに切れます。

勿論、切れ味が良いので、フェザースティックを作ると、なんだか自分の腕が上がったように感じます(笑)。


切れ味が良いので、ティンダーフェザーからキンドリングフェザーまで、思いのまま。


また、耐久性に関しても、多少のバトニングではビクともせず、広葉樹薪を数本バトニングした程度では、チップやロールもありません。ただ、箱出しでは、マイクロベベルが付いていないので、耐久性を考慮するなら軽くマイクロベベルを付けてやるべきです。


8Aは愛知製鋼の刃物用ステンレス鋼材で、ナイフ鋼材としては1~1.5万円程度の中級クラスのナイフで使用されている鋼材です。靭性、耐摩耗性、耐食性のバランスが良く、ステンレスにしては研ぎやすいため、メンテナンス性にも富んでいます。

とは言う物の、切れ味や耐摩耗性のカギを握っているのは、焼き入れ・焼き戻しといった熱処理にかかってきますから、UFの切れ味と耐久性の良さは、作ったナイフメーカーの高い技術力を感じさせます。


握りやすさ・取り回し


ハンドルはPPという平凡なプラスチックですが、ラバーが貼られているため滑り難く、素手でも握りやすいです。軽さや重量バランスも良く、ジャガイモの皮むきからフェザースティック作りまで、難なく行えます。

個人的には、5インチクラス(刃長127mm)が、バトニングや調理などで最も使いやすいと感じるのですが、シース(鞘)も含めて若干大きめになるので、110mmクラスというのは、腰から提げる上でも取り回しの良いサイズです。


使い勝手


既に挙げた通り、バトニングについては、よくできたナイフだと言えます。刃厚とハーフタングのバランスが素晴らしく、タングがハンドル上部から出ているなど、バトニングについて考え抜かれたデザインです。

ブレード形状は、スカンジグラインドですから、根菜類などを切るのは不得意ですが、これはモーラなども同様ですからマイナスにはならないでしょう。むしろブレードのエッジ角が鈍角なことが、バトニングでの耐久性やクサビ効果を高めているので、名前に恥じずブッシュクラフト向きの性能と言えます。


シースは、プラスチック(ABS)製で、これと言った特徴はありませんが、ナイフを刺し込めば「カチッ」というクリック感があり、ホールド性能もしっかりしています。また、水抜き穴も設けられており、基本をしっかり押さえた造りになっています。


総評

さて、ちょっとべた褒めなほど褒めてしまいましたが、その一番の理由は、税込み5,500円5,900円(2021年2月1日から価格改定)という安さにあります。5千円台と言うと、価格的にはエントリーモデルに位置付けられますが、UFはバトニングまで含めた本格的な使い方ができるワンランク上のナイフです。

ここまで色々と比較してきたガーバーグは、一番安いスタンダードシースモデルでも9,350円ですから、4,000円近い価格差があります。



既に述べたように、ガーバーグとの違いはフルタングかハーフタングかの違いであり、実質的な性能面ではハーフタングで十分ですから、この4,000円の差は大きいです。細かいことを言うと、ガーバーグは表面処理がされておらず、ざらっとしていますので、そういった意味でも、より手間のかかっているUFの品質とコスパが際立ちます。正直、この値段で鋼材まで含めて日本製なのですから、かなり衝撃的です。


バトニングの性能だけなら、このナイフより優れたナイフはいくらでもありますし、切れ味や耐久性に関しても然りです。ナイフの性能や品質で言えば、バークリバーやファルクニーベンなど、いくらでも良いナイフはありますが、それらはみんな1本2~3万はします。

これだけバランスが良くて使いやすいナイフが、税込み5,500円5,900円(2021年2月1日から価格改定)で手に入るのですから、良い時代になったものです(笑)。



ガーバーグに興味のある方は、こちらもご覧ください。

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