モーラナイフ ガーバーグは高い!?

2021年3月1日

ナイフ沼

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 先日、知人から「ガーバーグってどうよ?」と聞かれ、返答に窮してしまいました。私が使っているナイフは、1~2万円台が多く、バークリバーなどは3万を超えますから、1万円ちょっとで買えるガーバーグは安い方です。一方で、モーラナイフのラインアップの中では最も高額で、スタンダードなコンパニオンヘビーデューティーの3倍以上ですから、どう考えてもコスパが悪いです。



今回は、ガーバーグを題材に、果たして金額も含めて妥当なのか考えていきます。

※写真の出典は全てモーラナイフジャパン


先ずは、ガーバーグのスペックを整理していきます。



  • 全長:約229mm
  • 刃長:約109mm
  • 刃厚:約3.2mm
  • 重量:約170g(ナイフのみ)
  • 鋼材:ステンレススチール(14C28N)/カーボンスチール(不明)
  • ハンドル:ポリアミド

ガーバーグは、元々ステンレスのみでしたが、2018年にカーボンスチール(以下炭素鋼)モデルが追加されました。


参考までにコンパニオンヘビーデューティーのスペックも整理しておきます。



  • 全長:約224mm
  • 刃長:約104mm
  • 刃厚:約3.2mm
  • 重量:101g(ナイフのみ)
  • 鋼材:ステンレススチール(12C27)/カーボンスチール(不明)
  • ハンドル:ラバー

コンパニオンヘビーデューティーは、元々炭素鋼モデルのMGしかありませんでしたが、2019年にステンレスモデルが追加されました。


ガーバーグは、コンパニオンヘビーデューティーと比べると、刃長が5mm長く、ハンドル素材がポリアミドに変更されています。ぶっちゃけ、刃長109mmと104mmは使い勝手としては変わりませんし、ポリアミドと言えば聞こえは良いですが、要するナイロン素材ですから、まあ、別に高価な素材ではありません。

一番の違いは、フルタングに近いラップドタングであることと、ステンレス鋼材が14C28Nという点です。バトニングで薪を割るには、フルタングは大きなアドバンテージですから、本格的なサバイバルに耐えるナイフと言えるでしょう。

また、鋼材に採用されているサンドヴィック社の14C28Nは、同社の12C27よりマンガンとクロムの配合を高め、耐食性と耐摩耗性を高めた素材です。一般的にクロムの添加量を増量すると炭素量が減るのですが、14C28Nは炭素含有量0.62%と12C27の0.60%より僅かに高めています(実際には、0.02%差なんて誤差みたいなもんですが)。

切れ味については、鋼材の組成よりも硬度の方が重要になってきますが、モーラのスペック表には正確な硬度の記載がありません。モーラの米国サイトを確認すると、ナイフのロックウェル硬度はHRC58-60に調整されているとありますので、ガーバーグも同程度でしょう。HRC58-60というのは、ステンレス鋼ナイフとしては標準的、炭素鋼ナイフとしては少し高めと言えます。


さて、価格を確認してみましょう。ガーバーグは、シースのタイプ別に3種類がラインアップされています。


レザーシース

マルチマウント

スタンダード


ガーバーグ ステンレススチール

  • レザーシース:12,650円
  • マルチマウント:11,550円
  • スタンダード:9,350円

ガーバーグ カーボンスチール

  • レザーシース:13,750円
  • マルチマウント:12,650円
  • スタンダード:10,450円

※値段は全て10%税込


シースの違いによる値段差は、スタンダードからマルチマウントで2,200円、マルチマウントとレザーで1,100円の差となり、スタンダードとレザーでは、3,300円差と、コンパニオンヘビーデューティー1本買ってもおつりが来るほどの値段差になっています(笑)。

スタンダードは、単なるプラスチックですが、実用的には全く問題ありません。ナイフとしてのステータスを楽しむのであればレザーがベターですが、水濡れの心配が無いプラスチックの方が、キャンプなどのアウトドアには適しています。



問題は、マルチマウントです。スタンダードのプラシースをマウントベースにベルクロテープで固定し、更にマウントベースをベルクロテープでザックなどに固定するのですが、銃刀法に五月蠅い日本で、ナイフをザックの肩ベルトに取り付けて使うのは憚られます。



私は、カンスボルのマルチマウントを持っていますが、結局マルチマウントは一度も使っていません(苦笑)。


とまあ、趣味性の高いマルチマウントは別にして、実用ベースで考えれば、一番安いスタンダードシースが良いでしょう。


さて、ここまでは、ガーバーグの詳細を見てきましたが、果たして値段通りの製品と言えるでしょうか。


確かに、ガーバーグは、フルタングに近いラップドダングですし、鋼材も14C28Nという上位鋼材を使用しています。でも、それが定価2,640円のコンパニオンヘビーデューティーとの価格差が埋められるかと言うと正直疑問です。フルタングですから、余分に鋼材がかかると言うのは分かります(重量差69g)。これは、想像ですが、コンパニオンヘビーデューティーはナロータングですので、1枚のナイフ鋼材から2本取れるとれるところを、ガーバーグでは1本しか取れないので、原料費が2倍以上になるのかもしれません。しかし、それでも定価が3倍以上になるのはいかがなものかと思います。

これが、炭素鋼だと尚更です。炭素鋼モデルはステンレスモデルより、更に1,100円高いです。ガーバーグの炭素鋼モデルは、ブラックコーティングが施されているので(コンパニオン等はコーティング無しのため錆びやすい)、これが1,100円高になっているのでしょうが、そもそも一般的には炭素鋼の方が加工がしやすく、安くなる傾向にありますので、これは納得しにくいです(-_-)。


実は、ガーバーグに近いスペックのナイフがあります。

リアルスチールの、ブッシュクラフトプラスです。



  • 全長:240mm
  • 刃長:113mm
  • 刃厚:約4.3mm
  • 重量:約195g
  • 鋼材:14C28N
  • ハンドル:G10

サイズはほぼ同じで、ブレードも14C28Nのフルタング。一番の違いは、刃厚が1ミリ以上厚い4.3mmという点です。よく、ガーバーグはフルタングなのでバトニングに最適と言われますが、バトニングで薪を割るには、ナイフの厚みも重要になってきます。薪を割るというのは、クサビのように押し広げて割るということになるため、刃厚が厚い方が有利です。ブッシュクラフトプラスの4.3mmという厚さは、刃長11cm前後のナイフとしてはまずまずの刃厚です。

実売価格も、1万円前後とガーバーグと拮抗します。唯一の欠点(?)は、中華製という点ですが、リアルスチールは米国のナイフメーカーで、品質管理もしっかりしているようですので、メイドイン~に拘りが無ければ問題にならないでしょう。


以上、ガーバーグを色んな角度から見てきましたが、結局どうなのよと言われると、正直微妙なナイフだと言わざるを得ません。私は、モーラナイフを7本持っているので、モーラの良さは充分知っているつもりです。

モーラの最大のポイントは、抜群のコスパにあります。その中で、ガーバーグは唯一コスパの良くないナイフと言えます。また、刃厚が3.2mmというのは、バトニングメインのブッシュクラフトナイフとして考えると中途半端です。ビクトリノックスやオピネルのようなフォールディングナイフしか使ったことが無い人からすれば、充分ぶ厚いナイフに見えるでしょうが、広葉樹を思いっきりぶっ叩いて割るようなハードな使い方では、不安があります。

薪割とフェザースティック作りを両立したいのなら、ハクスバーナのキャンプ斧とコンパニオンヘビーデューティーの組み合わせの方がベターですし、2つ買ってもガーバーグより安いです(笑)。



じゃあ、ガーバーグは買う価値が無いかと言われると、そうとも言えません。モーラナイフのブレード形状は、伝統的なスカンジグラインドに近い形をしており、ガーバーグも鎬(しのぎ:ブレードのフラットな部分)が広いナイフです。鎬が広いということは、それだけブレードの厚い部分が多いということで、強度が上がります。また、エッジ角も鈍角なため、下手なコンベックスグラインドよりも、エッジ強度に勝ります。

私は、ファルクニーベンのF1をシースナイフのベンチマークとしているので、刃厚で言えば4.5mmが基準となります。そのため、ガーバーグに対してはどうしても辛口になってしまうのですが、頑丈で汎用性の高いナイフとして考えれば、決して悪い選択肢ではありません。


結局は、価格なんですよね~。

コンパニオンヘビーデューティーが安すぎるのではありますが、ガーバーグもせめて7,000円ぐらいならねぇ・・・。









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沼にハマると抜け出せなくなる性格の40代おっさん。関西出身で現在は東京都在住。嫁と娘の3人家族で年間30泊ほどキャンプに行って飲んだくれている。

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