冬キャンプの石油ストーブ

2023年12月7日

キャンプtips キャンプ沼 ストーブ 雪中キャンプ

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今年は暖冬と言われていますが、冬のキャンプはやっぱり寒いです。

あまりキャンプを知らない人と話をすると、「真冬にキャンプ?寒くてムリムリ!!」とよく言われますが、真冬でも暖房器具を上手く使いこなせば、結構快適なキャンプができます。

キャンプでの暖房器具は色々とありますが、一番手軽で暖かいのは石油ストーブです。

私は、現在3台の石油ストーブを使用していますが、今回は、それらの違いも含めて、石油ストーブの活用法をご紹介したいと思います。

トヨトミのKS-67Hとレインボーストーブ
トヨトミのKS-67Hとレインボーストーブ。
出力はKS-67Hが2倍以上と大きな差がある。

併せて、おすすめのストーブもご紹介していますので、ストーブ選びの参考にしてみてください。



キャンプで使える石油ストーブの種類

石油ストーブにも種類がります。

石油ファンヒーター

石油ファンヒーターは、石油を燃焼して温めた空気を、ファンで強制的に循環させるタイプのストーブです。暖かい空気が対流するので、ムラなくテント内を暖めることができます。

但し、電源が必要ですので、キャンプシーンでは電源サイトを使うか、ポータブル電源が必要となります。


石油ストーブ

昔からある、石油を燃焼するタイプのストーブです。近年は、小型のものから大型のものまで、各種ラインアップされており、キャンプ向けの製品も増えました。


加圧式バーナー

武井バーナーに代表される、タンクを加圧して、気化した石油を燃焼するタイプです。小型でも、高カロリーでとても暖かいのが特徴ですが、定期的にポンピングが必要となるため、長時間使う場合は多少面倒です。


私が使っている石油ストーブ

武井バーナー パープルストーブ

コアなキャンパーの間で大人気の武井バーナー。私がキャンプで使い始めた頃は、まだまだマイナーな存在でしたが、最近は入手困難な状況が続いています。

武井バーナーは、加圧式の石油バーナーですから、ポンピング・プレヒートが必要で、点火までに5分ぐらいかかります。点火についても、プレヒートが足りないと大炎上して煤だらけになってしまうなど、使いこなすにはかなり大変なストーブです。

でも、それが魅力でもあり、「ゴォォォー」という燃焼音と共に、キャンプしてる感を高めてくれるアイテムです。

使い勝手の上では、30分に1回はポンピングが必要になるため手間がかかりますし、途中で燃料をつぎ足せないため、長時間の運用には向きません。

そのため、用途的には就寝中に使えないというのが他のストーブと大きく異なる点です。この点をどう評価するかが、このストーブを導入する上での最大のポイントとなります。


武井バーナーは入手困難ですが、他の石油バーナーやガソリンバーナーを流用するという手もあります。

最近は、アフターパーツでも、加圧式バーナーにポン付けできるヒーターが色々と出ていますので、それらを使うと、武井バーナー同様のストーブとして使えます。



トヨトミ レインボーストーブ

燃焼が美しく、まるでランタンのような石油ストーブ。

レインボーストーブは、見た目に注目されやすいですが、石油ストーブとしては、かなりコンパクトで軽いストーブです。燃費も良く、タンク満タンで20時間ほど持ちます。

但し、出力が小さいため、テント内で使用する場合は、中型のツールームぐらいまでが限度で、対応人数としては3~4名ぐらいが目安となります。

点火は、電池を使った自動点火ですから、とても簡単に使うことがでます。

軽量コンパクトと使いやすさという点では、最もキャンプに向いているストーブです。


トヨトミ KS-67H

形状はシンプルですが、とても高火力な石油ストーブです。あまりにも火力が高いため、調理器具としても使えるぐらいです(笑)。

暖房力は、木造で17畳まで(28.0㎡)、コンクリートで24畳まで(39.5㎡)対応していますので、大型のテントでも充分使えます。

私は、ふもとっぱらから北海道まで、様々な場所で冬キャンプを楽しんできましたが、KS-67Hは一番出番が多い石油ストーブです。薪ストーブも使いますが、正直、これ1台でも事足りるぐらいです。

我が家では、冬キャンプ、特に雪中キャンプでは、約10人対応のクロンダイクグランデを使用していますが、KS-67Hはそんな大型テントでも温めることができます。流石に、マイナス10℃を下回る気温では寒さを感じますが、通常の4~5人用テントであれば充分な出力があります。


ストーブをテント内で安全に使う方法

ふもとっぱらに代表される、高原のキャンプ場では、冬シーズンは最高気温でも1桁台、夜中の最低気温はマイナス10℃にもなります。勿論、暖かいウェアを着込むのが基本となりますが、長時間寒空の下というのも厳しいものがありますから、テント内は暖かくしたいところです。

そんな時に大活躍するのが、石油ストーブです。一般的には、テント内でストーブを使うことは禁止されていますが、最近は、テント内で石油ストーブを使うことに慣れてきたかと思います。

テント内で石油ストーブを含むストーブ類を使うことが禁忌されているのは、不完全燃焼で一酸化炭素中毒になるからです。一酸化炭素は毒性が強く、吸い過ぎると失神し、そのまま吸い続けることで死亡に繋がります。比重は空気と同じため、ストーブの利用で一酸化炭素が発生してしまうと、空気中にそのまま滞留してしまい、中毒になりやすいというのも厄介な点です。

そのため、ストーブを使う時は、換気が重要となります。計算上は、5人前後対応の大型ツールームでも、トヨトミレインボーで3時間ほど、KS-67Hなら1時間程度で不完全燃焼になり、一酸化炭素が発生します。

不完全燃焼を防止するためには、テントのルーフ付近にあるベンチレーターを開け、出入口や窓を少し開ける事で、空気の流れを作ることが重要です。これによって、出入口や窓から空気を取り込み、ベンチレーターから排出するという空気の流れが起こり、常に喚起されて安全な状態になります。

図のように、下から上へと空気の流れを作ることで、スムーズに換気することができます。

空気を取り込むために開ける大きさですが、トヨトミレインボーのような小型ストーブなら4cm四方、大型ストーブなら6cm四方を目安にしてください。こうすることで、冷たい外気が再びストーブで暖められ、ベンチレーターから排出されるという空気の循環が生まれます。

ちなみに、ストーブファンなどで、空気をテント内で撹拌していても、暖かい空気は自然とベンチレーターから出ていきますので、問題ありません。たとえ一酸化炭素が発生しても、空気の循環があれば暖かい空気と共に自動的に排気されます。


私の冬キャンプでの石油ストーブ活用事例

私は、薪ストーブが好きで、毎年薪ストーブを焚くためだけに冬キャンプに行っています(笑)。そんな私でも、石油ストーブはありがたいアイテムです。最大の理由は、薪ストーブは薪を足せない就寝時には使えないからです。寝る前に薪を大量にくべていても、朝方には殆ど灰になっていますから、深夜から早朝にかけては、石油ストーブは欠かせません。

写真は、ふもとっぱらと並んで人気の富士山YMCAグローバルエコヴィレッジですが、真冬となれば、最低気温はマイナス10℃近くになります。薪ストーブを焚けば、外気温プラス20℃以上になるので快適に過ごせますが、深夜から早朝はそうはいきません。

レインボーストーブと薪ストーブの併用。写真右は寝坊助の娘。

天井高3mオーバーと大きなクロンダイクグランデですが、レインボーストーブでもプラス5〜10度ぐらいはいけますから、早朝の寒さをしのぐぐらいなら、レインボーでも使えます。


勿論、大型のKS-67Hなら更に強力です。

テント内に設置したKS-67Hと薪ストーブ

感覚的には、薪ストーブ並みのパワーがあり、瞬時に温まるので、北海道冬キャンプ旅行で大活躍でした。

特に、マイナス20℃以下になった旭川でのキャンプは印象的でした。


これほど極端な例でなくても、近畿・中部・関東など比較的温暖な地方の冬キャンプであれば、レインボーでも結構いけます。3人家族の我が家では、ツールームはオガワのファシルを使っていますが、レインボーストーブだけで、外気温に対して16~7度プラスになります。


これに、イワタニのカセットストーブ「デカ暖」を加えれば、テント内はプラス20度以上となり、暑いぐらいです。


サーカスコットンバージョン。冬の洪庵キャンプ場にて。

テントとの組み合わせでいうと、サーカスなどでも、レインボーでいけます。ただ、サーカスは、スカート部分からの吹込みが結構あるため、場合によっては寒さを感じることがあります。

とは言え、KS-67Hのような大型ストーブだと完全にオーバースペックとなるので悩ましいところです。

感覚としては、2~3人のツール―ムまでならレインボー、4人以上のツールームならKS-67Hといった感じです。


武井バーナーにも少し触れておきましょう。

武井バーナーは、感覚的にはレインボーより暖かいです。大きさもレインボーより小型で、持ち運びもラクですから、主にソロキャンプで使っています。

但し、寝ている時には使えないため、シュラフやウェアで工夫しています。


石油ストーブとコットがおすすめの理由

テント内で石油ストーブを使うと、温められた空気は、上に溜まります。そのため、コットとの相性がとても良いのが特徴です。

遠赤外線を発するタイプでも、ストーブから出た熱は上昇していきますから、地べたに座っているより、コットの上に座っている方が、上部に溜まった暖かい空気を有効利用することができます。

また、寝る時も、コットを使えば地面からの冷気をシャットできると同時に、上の方のより暖かい空気に触れる事になり、より快適に寝ることができます。

ここで重要になるのが、コットの高さです。

最近販売されているコットは、高さが40cm前後のコットと、20cm以下のローコットがあります。当然お勧めするのは、高さがある通常のコットです。暖房効果を考えれば、40cm以上を基準にすると良いでしょう。

コットの脇に置いたトヨトミのレインボーストーブ

というのも、石油ストーブを使用する場合、石油ストーブの高さより上が先に温まりますので、それと同等の高さが望ましいからです。

レインボーストーブは、高さが約47cmありますから、それより下はなかなか温まりません。そう考えると、40cmというのが一つの基準になります。


注意点

テント内で石油ストーブを使う上での注意点は、既に取り上げた通り、不完全燃焼で起こる一酸化炭素中毒です。そのため、常に喚起しておくことが重要となります。

それ以外の点としては、一酸化炭素メーターは必須アイテムとなりますので、必ず使用してください。電池も、できるだけこまめに入れ替えるのが良いです。私は、ヘッドランプやLEDランタンなどの電池が無くなったら、一酸化炭素メーターの電池を交換して使っています。

あとは、火傷対策として、ストーブガードを用意しておくのがベターです。テントの中は自宅と違って狭いので、よろけて手をついてしまうなどの危険があります。また、テントの幕体がストーブに触れて溶けたり、最悪火事になったりすることを予防するのにも役立ちます。

私は、狭いドームテントの中でも使えるようにと、武井バーナー専用のストーブガード兼ゴトクを作りました。


おすすめの石油ストーブ

最後に、私のおすすめの石油ストーブをご紹介します。

最近は、老舗のストーブメーカーもアウトドア用の製品を出してきているので、随分と選択肢が広がりました。

トヨトミ レインボーストーブ

出典:株式会社トヨトミ

キャンプで使用されているストーブとしては、最もポピュラーなストーブ。トップのリングがランタンに似た形状をしており、煖房だけでなく、照明としても使えることからも、多くのキャンパーに支持されている。

木造7畳まで対応。


トヨトミ KR-47A

出典:株式会社トヨトミ

レトロなデザインの対流形石油ストーブでありながら、対流式プラス遠赤外線のダブル効果で温めてくれる。出力も、木造12畳まで対応と、レインボーストーブより高い。


トヨトミ KS-67H

トヨトミの石油ストーブの中で最も暖かいストーブ。大型で重いが、暖房能力は、木造17畳まで対応と圧倒的。

トヨトミ 宿営暖房I型 KS-SDF56

出典:株式会社トヨトミ

長年、防衛省に⾃衛隊専⽤の⽯油ストーブを納品しているトヨトミ。⾃衛隊仕様の

ストーブを民生用に転換したのがこの「宿営暖房I型」。ストーブガード一体となった本体が特徴で、テント内で使用するのに適している。


トヨトミ RR-GER25

出典:株式会社トヨトミ

GEAR MISSIONシリーズの限定モデル。レインボーストーブのホヤを外し、遠赤外線を発する燃焼筒を採用しているため、対流だけでなく輻射熱によって周囲が温められる。木造7畳まで対応。


コロナ SZ-32

出典:コロナ

コロナの小型ストーブ。見た目としては、RR-GER25に近いが、こちらの方が木造9畳まで対応と、出力がやや高め。


コロナ SL-5123

出典:コロナ

コロナの中型ストーブ。木造13畳まで対応なので、寒がりの方は、レインボーなどの小型ストーブよりこちらがおすすめ。


コロナ SL-6623

出典:コロナ

コロナの石油ストーブの中で最も暖かいストーブ。木造17畳まで対応と、トヨトミのKS-67Hと拮抗している。


アラジン ブルーフレームヒーター

出典:アラジン

伝統的でオシャレなスタイルから、多くのファンがいるブルーフレームヒーター。青く輝く炎が特徴的で、年代物であれば、アンティークとしての価値も高い。

レインボーストーブ同様の木造7畳まで対応だが、出力はこちらの方が若干高い。


パセコ CAMP-25

出典:パセコ

韓国の暖房器具メーカーが、キャンプ用として発売した石油ストーブ。出力は約6.4kwと、トヨトミのKS-67H等に次ぐほどのパワーがありつつ、収納時に本体の高さが小さくできるのが最大の特徴。


パセコ JKH-1

出典:パセコ

コンパクトで、コロッとした形が愛らしい石油ストーブ。その形状からキャンパーに人気があるが、出力も3kwとレインボーより少し高めになっている。















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