「マル暖」と「デカ暖」のどっちを買うべき!?

2023年12月14日

topics ストーブ

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カセットガスストーブは、軽くて取り扱いが簡単なため、アウトドアでも人気のアイテムです。暖房力では、石油ストーブには敵いませんが、早朝にちょっと暖を取りたいといった場面では、着火が早くて直ぐに暖まるガスストーブは便利です。

また、コンパクトですから狭いテント内で使用するのにも向いており、石油ストーブより安全に使用できるという点も見逃せません。勿論、テント内で使用するには、一酸化炭素中毒や火事に気を付ける必用はありますが、石油ストーブに比べればリスクが低いです。

そんなカセットガスストーブ界で、新たにラインアップに加わったのがイワタニの「マル暖」です。

私は、これまで「デカ暖」を愛用してきましたので、その目線で「マル暖」を評価してみたいと思います。


マル暖(FORE WINDS MULTI HEATER)について

「マル暖」は、レトロな石油ストーブをモチーフにしたデザインのガスストーブです。電池や電源不要で、カセットガス1本で約1時間40分の連続燃焼が可能です。最大発熱量は約2.09kW(約1,800kcal/h)で、木造住宅では5畳、コンクリート集合住宅では7畳まで暖房可能です。

イワタニは、これまでもカセットガスストーブをラインアップしてきましたが、マル暖で初めての機能が2つあります。

1つは、屋内外兼用であること、もう1つはお湯が沸かせることです。


イワタニのWEBサイトによると、マル暖は、(一財)日本ガス機器検査協会の定める「カートリッジガスこんろ適合性検査規程」、「組込型ストーブ検査規程」、「カートリッジガスストーブの屋内屋外兼用の検査基準」すべてに準拠する日本初の商品だそうです。これまでの製品は、屋内用でしたので、屋外で使う場合は所謂自己責任だったわけですが、今回の製品はオフィシャルに屋外での使用を認められたのですから、キャンパーにとってはありがたい話です。

尚、屋外利用も認めたということもあって、イワタニのアウトドアブランドであるFORE WINDSからは「MULTI HEATER(マルチヒーター)」という名で販売されており、所謂ダブルネーム商品となっています。


もう1つのお湯が沸かせるという点ですが、これは今回のガスストーブが対流式であるためです。これまでの、マイ暖やデカ暖は、熱を前面に反射して温める反射式でしたが、マル暖は、熱が上へと上昇する対流式となっています。

そのため、天板が追加されており、これでお湯が沸かせるようになっています。これまでも、デカ暖2では天板が追加されていましたが、基本設計が反射式だったため、天板への熱量は限定的で、お湯を沸かすのには向いていませんでした。


安全性については、イワタニ定番の4つの安全装置が搭載されており、不完全燃焼や立消え、転倒時や圧力上昇時には自動的にガスを遮断して消火するようになっています。


マル暖とデカ暖の比較

出典:岩谷産業

デカ暖は、イワタニ独自の「熱溜め燃焼筒」が特徴で、それまでのカセットガスストーブに比べてハイパワーなため、キャンプでも活躍してきました。

そんなこれまでの定番ストーブだったデカ暖と、マル暖を比較する上でポイントとなるのが、下記の5点です。

  1. 屋外で使えるか
  2. お湯が沸かせるか
  3. 最大発熱量
  4. 連続燃焼時間
  5. 価格

では、具体的に比較してみましょう。

屋外で使えるか

先ず、屋外で使えるかという点ですが、マル暖は〇、デカ暖は自己責任という前提であれば〇ということになります。

私はデカ暖の発売以来、キャンプで使い続けていますので、屋外での安全性については実質的に問題無いと考えています。但し、メーカー保証で無いという点では、マル暖の方が安心ですから、マル暖に軍配が挙がるでしょう。


お湯が沸かせるか

お湯が沸かせるという点については、最早議論の余地はありません。そもそもデカ暖には天板がありませんし、デカ暖2にしても天板はありますが湯を湧かせるほどの火力はありません。

それに比べ、マル暖は天板があり、お湯を沸かせるようになっています。更に天板の形状も、ゴトクのようになっており、お湯を沸かすだけでなく、調理にも使えます。


最大発熱量

デカ暖が約1.35kW(約1,150kcal/h)なのに対し、マル暖は約2.09kW(約1,800kcal/h)と、マル暖の方がかなりハイパワーになっています。マル暖の2.09kWという数値は、石油ストーブのトヨトミレインボーストーブが約2.5kWですから、石油ストーブに肉薄するぐらいの暖房力があると言えます。


連続燃焼時間

連続燃焼時間については、発熱量とのトレードオフですから、マル暖の方がかなり短くなります。「デカ暖」が約2時間30分なのに対し、「マル暖」は約1時間40分となっています。


価格

イワタニのECサイトでは、マル暖2が34,800円、デカ暖2が24,800円と1万円の差となっています。暖房力で比べれば、マル暖は1.5倍以上の出力がありますから、値段以上の差があります。


マル暖とアラジンの比較

さて、ここまでデカ暖と比較してきましたが、マル暖の競合製品としては、アラジンのポータブルガスストーブの方が競合として相応しいでしょう。形状も似ており、どちらも対流式ですから、ガチンコです(笑)。

ということで、スペック比較したのが下記の表です。

マル暖アラジン
サイズ(幅×奥行×高さ)343×368×382mm330×335×386mm
重量(CB缶除く)約4.5kg約5.7kg
最大発熱量2.09kW(約1,800kcal/h)2.0kW(1700kcal/h)
連続燃焼時間約97分100分
安全性圧力感知安全装置
不完全燃焼防止装置
転倒時消火装置
立消え安全装置
圧力感知安全装置
不完全燃焼防止装置
転倒時消火装置
立消え安全装置
価格34,800円39,600円

こうして比べてみると、スペック的には殆ど同じです。

最大発熱量が、マル暖の方がやや大きいですが、大きな違いではありません。

価格は、ややマル暖の方が安いですが、大きな差ではありませんから、あとはデザイン性でどちらを選ぶかといったところでしょうか。

それにしても、ここまでスペック的に似通った製品をイワタニが出してきたというのは、チョット驚きです。これは、アラジンが人気になったのを見て、競合製品をぶつけてきたとしか思えません(苦笑)。

まあ、キャンパーとしては選択肢が広がったという点で、歓迎すべきでしょう。


マル暖をより長時間使う方法

カセットガスストーブの最大のウィークポイントは、連続燃焼時間が短いということです。燃料にカセットボンベを使っていますから、石油ストーブに比べると、どうしても燃焼時間が短くなってしまいます。

この燃焼時間の問題を解決する方法があります。

複数のCB缶を繋いで使えるアダプターです。

私は、キャンピングムーンのCB缶アダプターを使用していますが、これを使うと容量が3倍になるので、とても便利です。これであれば、マル暖でも5時間近く連続して使うことができます。

因みに、このアダプターを使うためには、磁石式CB缶アダプターとガスホースラインが必要になります。

詳細は、こちらでリポートしていますのでご興味のある方はご覧ください。


「マル暖」と「デカ暖」どちらが買いか!?

結論から言ってしまうと、使い方で選びましょうということになります。マル暖は、石油ストーブのトヨトミレインボーに迫るほどの出力がありますから、小型のツールームぐらいまでは十分使えます。ソロで使うような、ワンポールやパップテントなら、主力の暖房器具になるでしょう。

コンロ代わりに使うには、少し出力不足ですが、時間をかければ鍋料理などにも使えるので、正に冬キャンプ向きと言えます。


レインボーストーブとデカ暖の併用
トヨトミレインボー(左)とデカ暖(右)

一方のデカ暖は、本格的な暖房器具としては出力不足ですから、足元を暖めるなど、使いどころが限定されます。但し、ドームテントやツールームのインナーテントを暖める場合は重宝します。反射式ですから、前面しか熱が来ないため、テントの端に置いても比較的安全に使用可能です。

また、出力が低いとは言え、2~4名程度のインナーテント内であれば結構暖かくなりますから、夜寝る前や早朝などの一番寒い時間帯に効果的に使うことができます。

デカ暖の詳細は、私の過去記事を参照頂ければと思いますが、以前テストした時は、外気温プラス17℃を記録していますので、ドームテント内で使うのであれば主力級の役割を果たしてくれます。


幕内、特にドームテントやツールームのインナー内で使うことを考えると、マル暖は設置場所と安全性の面でデカ暖より注意を払う必要があります。天板が高温になるだけでなく、対流式ではありますが全周囲に熱が発散されるため、テント幕の近くに設置するのは危険です。また、ストーブガードが無いため、火傷などのリスクがデカ暖より高くなります。そういった点から、狭い幕内で使うのであれば、デカ暖の方が安全性と設置性に優れます。

デカ暖2
出典:岩谷産業

残念ながら、デカ暖は生産が終了しており、デカ暖2に置き換わっています。デカ暖2は、天板があるので、安全性の面ではデカ暖に劣りますが、発熱は前面方向ですから、幕内での安全性はマル暖よりも勝ります。


以上、暖房力が欲しい、湯沸かしや調理にも使いたいという場合は、マル暖をおすすめします。一方、就寝時・早朝の寒さ対策として使う場合は、パップテントやワンポールなど、幕内が比較的広めのテントであればマル暖、ドームテントやツールームのインナー内で使うのであればデカ暖ということになります。





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