タープ|キャンプに必要な物の選び方(初心者向け)その3

2019年3月18日

キャンプ入門

t f B! P L
キャンプに必要な物を、初心者の方にも分かりやすくまとめて紹介!!
第3回目は、ひょっとしたらキャンプ用品の中で一番長く使うかもしれないタープについて解説します。

テンマクデザイン サーカスコットン 焚火タープコットンソロレクタ

タープは、ロケーションによってはマストなアイテムでは無いです。でも、私はキャンプに行くときに、必ずタープを持っていきます。テントは、車中泊をすれば不要になりますが、タープは様々なシチュエーションで役に立ちます。
一番役に立つ場面は、当然雨です。雨の中キャンプをする場合は、テントの中で煮炊きするわけにいかないので、LDKを確保するためにタープは必須になります。また、撤収時も、最後までタープを残しておくことで、チェアやテーブルなどを畳んだりする作業場、荷物置き場、休憩の貴重なスペースとして活用できます。
次に重要なのが、日陰としての役割です。特に野原のようなロケーションで快晴の時には、直射日光がガンガン当たるため、春でも暑くてフラフラになりますし、紫外線対策としても日陰が必要になります。
あと、意外なのが、林間サイトです。林間サイトでは、木で覆われているので、直射日光は当たらないのですが、虫や葉が上から落ちてきたりするため、それらの防止の意味でもタープを張った方が良い場合があります。もちろん、多少の虫や葉なんて気にしないという方であれば張らない方が自然をより感じられるので良いですが、神経質な方はタープを張ると安心感が違います。ドームタープであれば、全体を囲ってメッシュで遮断できるので、夏場の蚊対策としても有効です。
このように、タープは活躍の場が多いので、持っておいて損はないアイテムです。むしろ、テントの項目でも書きましたが、テントとタープの組み合わせで、様々なレイアウトが可能になるので、シチュエーションに合わせてテントと組み合わせられるように、複数あると便利です(そして、キャンプ沼にはまっていきます!)。サイトのレイアウトは、要するに家と同じなので、寝室(テント)+LDKということになります。リビングダイニングを広くとって、キッチンはタープの外に配置したり、雨の日ならLDKをタープの下に入れてしまうなど、状況に応じてタープの張り方やレイアウトを変えることで、よりキャンプを楽しむことができます。
タープの種類ですが、自立タープ(ワンタッチタープ)、ヘキサタープ、レクタタープ、ウィングタープ、スクリーンタープの5種類があります(他にも、オクタやワンポールタイプの特殊な形状のものもありますが、今回は割愛します)。また、ヘキサ・レクタ・ウィングの3種類はポールとロープ(張り綱)で張るので、オープンタープとも呼ばれています。

では、それぞれの特徴を見ていきましょう。

タープの種類と特徴

自立タープ(ワンタッチタープ)

ワンタッチタープ
出典:キャプテンスタッグ

骨組みと幕が一体になっているタープ。
簡単に組み立てられ、脚で自立するため、設営・撤収が簡単。また、ロープを張る必要がないため、オープンタープが張れないような狭いサイトでも張ることが可能。
4本脚で自立しているので、幕体で視界を遮られることがなく、天井高も十分あるため、全タープ中で一番解放感がある。
欠点は、収納サイズが大きく、重量も重い。また最も風に弱い。あとは、見た目がダサい?!

ヘキサタープ

ヘキサタープ
出典:snow peak

6角形の形状をしたタープ。
基本的には2本のポールで張れて、ペグダウンも8か所と比較的簡単に張ることができる。
ピンと張ると形状も美しいため、タープの王道とも言える。
片側にポールを追加して、高さを出すなどのアレンジも豊富で、様々な楽しみ方ができるのも、ヘキサタープの特徴。
各メーカーから発売されているため種類が豊富で好みのものを選べる。

レクタタープ

レクタタープ
出典:テンマクデザイン

長方形の形状をしたタープ。
ポール2本でも張れるが、タープ中央に峰を作るように長いポールを立てて、更に4隅にポールを立てることで、家の屋根のような形状に立てるのが基本。
オープンタープの中で最も面積を有効活用できるが、ポールが多く必要となるのが難点。ヘキサタープと同様、各メーカーが出しているので種類が豊富。
尚、ロープを張るためのループ(ロープを結ぶ輪っか)が多数設置されているタープなどもあり、工夫次第でシェルター(つまりはテントみたいな形状のもの)なども作ることができるなど奥が深い。

ウィングタープ

ウィングタープ
出典:テンマクデザイン

変形のひし形や5角形などのタープ。
1~2人用の小ぶりなものが多く、ポール1~2本で張る。
テンマクデザインのムササビウィングなど、マニアックな製品が多く、熱烈なファンに支持されているのも特徴。

スクリーンタープ

スクリーンタープ
出典:Coleman

ドームテントのような形状をしたタープ。
ドームテントのフライシートだけみたいな形で、シートを開けてメッシュにできるのが特徴。全面メッシュにできるタイプだと、夏場は風通しが良く虫よけとしても効果を発揮する。冬は全てクローズにして、中でストーブなどを焚くと暖かいため、通年で使用することが可能。
また、ドームテントなどと結合して使えるタイプもあり、結合するとツールームテントのような使い方が可能になる。

タープの生地素材について

チェアのところでも書きましたが、素材はポリエステルなどの化繊かコットン、更に化繊とコットンの混紡のポリコットン(TC、テクニカルコットンとも言う)があり、難燃性と重量のトレードオフとなります。
重量については、だいたい、コットンは化繊の2~3倍の重量があります。オープンタープは風をはらむため、重量の重いコットンはきれいに張るのがかなり大変です。コットンの大型ヘキサタープでは、幕体重量が7kg弱という重さで、張るには剛性の高い(値段も高い)ポールが必要ですし、その重さ故に小川張り(後述)なども不可能とは言わないまでもかなり難しくなります。じゃあ、化繊を選べば良いかというと、焚火の火の粉が飛ぶと穴が空くので、とても悩ましいです。以前、強めの風の中で焚火をしていたのですが、3mほど離れたタープが穴だらけになったことがあります!
ちなみに、コットンやポリコットンのタープであれば、タープの下で焚火をすることも可能です。特に雨の日は、タープ下で焚火ができるのはありがたく、調理にも焚火を使う私のようなキャンパーにとっては、コットン以外の選択肢は無いと言えます。
コットンには、難燃性以外にもう一つ化繊とは異なる性質があります。化繊生地のポリエステル系素材は、加水分解による劣化が起こります。特に、化繊生地の場合は防水処理のためポリウレタンという素材が使われているのですが、これは空気中の水分によって加水分解されるため、年月とともに経年劣化します。保存状態にもよりますが、3~10年ほどで加水分解による劣化が起こり、ポリウレタンコーティングが剥がれてきます。まあ、10年もてば良いという考え方もアリですが、コットンであれば劣化がないので子や孫の世代まで使うことが可能です。もちろん、コットンも紫外線による劣化は免れませんが、化繊の加水分解に比べれば、はるかに耐性が高いと言えます。
実際、私の実家には親父が学生時代(おそらく50年以上前)に使っていたコットンのテントがありますが、生地はしっかりしているので使おうと思えば使うことができます。自分の使っていたタープを、孫が大きくなってから使うとかってドラマチックですよね!?

<素材の性質まとめ>

重量難燃性 加水分解
化繊××
TC
コットン ×

おすすめのタープ

さて、私のおすすめですが、これが意外と難しいです。
何度も書いている通り、タープは様々なシチュエーションに合わせて活用できるため、どれかこれ1つというのが選びにくいです。むしろ、色んなタープをシチュエーションに合わせてチョイスするのがベターです。
とまあ、悩んでいても仕方がないので、私のおすすめをいくつかご紹介します。

FIELDOOR アルミタープテント

FIELDOOR アルミタープテント

自立式で正方形のタープ。フレームがアルミとスチールの2種類あり、サイズも2m、2.5m、3mの3種類があります。カラーバリエーションやオプションも豊富で、フルメッシュスクリーンを使えば、全面メッシュで覆うことができるので、夏場の虫対策にもお勧めです。フレームはスチールの方が強度がありますが、私はアルミフレームを使っていて問題になったことはありません。この手のタープを海水浴で使用している方も見かけますが、そういった用途でもアルミの方が錆びないので良いです。
タープの種類説明でも書きましたが、とにかく設営が簡単で、2人で設営すれば対角線上の2本の脚を逆方向に引っ張って広げていけば1分ほどで簡単に立ち上げることができます。オープンタープのロープ張りのようなテクニックが不要のため、初心者でも失敗することなく設営可能です。しかもこのロープが不要というのが大きいです。自立式は3m×3mであれば、その面積だけで設営が可能ですが、5m×5mのヘキサタープであれば、ロープのペグダウン距離まで入れると、8m×10m程度の面積が必要となりますので、狭いサイトだと張れないことがあります。私も狭いサイトでヘキサタープがまともに張れなくて、大変苦労したことがあります。
弱点は風なのですが、多少の風は脚をペグダウンすれば耐えられますので、吹さらしの高原キャンプ場でない限りは利用可能です。
最大の難点は、収納サイズが大きいという点で、こればかりは他のタープに劣ります。
ちなみに、私も楽したいときはこれを使っていますし、夏場は庭でこれを張ってその下にプールを置いてビールを楽しんでいます。ご自宅に庭がある方はキャンプ以外でも大活躍するはずですので、1つ持っておいて損はありません。

テンマクデザイン 焚き火タープコットンヘキサ


テンマクデザインは、アウトドアショップWILD-1のオリジナルブランドです。テンマクデザインは、こんなギアが欲しかったというキャンパーの願いを叶えるようなマニアックな商品が多く、私も多くのテンマクデザイン製品を愛用しています。そんな、テンマクデザインを代表するテンマク(天幕)が、この焚き火タープコットンヘキサです。
商品名からもわかる通り、素材は100%コットンが使用されており、雨の日でも幕下で焚火ができます。
コットン製ですが、表面は撥水加工(化学薬品加工はしていない)がされているので、雨水は丸い水滴になって流れ落ちてくれます。また、コットン繊維は水を含むと膨張するため、雨水が染みてきて漏るということもありません。私も5年ぐらい使っていますが、土砂降りの雨の中でも雨漏りすることなく快適に使えています。(詳しくはこちら
また、このタープはかなり生地が厚手のため、遮光性にも優れており、夏場の強い太陽光を遮るのにも効果的です。オープンタープの風通しの良さとも相まって、炎天下でも涼しく過ごせます。
焚き火タープコットンヘキサは、サイズが570×560cmと大型のタープのため、区画サイトでは張れない場合がよくあります(私も度々経験しており、その都度苦労しています)。そのため、460×435cmと一回り小さな焚き火タープコットンヘキサMもおすすめです。これでも、大人4人程度であれば十分な広さが確保できます。

【2021年4月15日追記】
現在、焚き火タープコットンヘキサは、販売が終了しています。やはり大きさに難があったようで、引き続きMは販売されています。

注意点として、この商品は幕体だけなので、タープポールを別途購入する必要があります。このタープは重量があるため、耐風性も考慮するとスノーピークのウイングポール一択になります。


このポールは、板厚が1.5mmで直径も30mmもあるので丈夫で、強風でもビクともしません。長さは280㎝と240㎝の2種類がありますが、より解放感の高い280㎝をおすすめします。値段の高いポールですが、重量があり大型のコットンタープを使うのであれば丈夫なこのポールが安心ですし一生モノです。

ユニフレーム REVOタープⅡ L TAN


ユニフレームは、新越ワークスという新潟県燕三条にある会社が開発・製造しているアウトドア商品のブランド名で、ファイヤーグリル(焚火台)やユニセラ(卓上炭火コンロ)など多くのヒット商品を輩出しています。ちなみに燕三条には、スノーピークやキャプテンスタッグ(パール金属)もあり、アウトドアメーカーのメッカです。
REVOタープは、変形のヘキサタープで、その独特の形状からファンも多いタープです。そんなREVOタープが2020年にリニューアルされ、2になりました。基本的には、サイズ等は変わらず、色がTAN(タン)に変更されています。

REVOタープ2は、シワ防止のため一部にヘヴィメッシュという網状の素材を使用しており、これがスタイリッシュなデザインにも一躍買っています。


REVOタープ2の魅力は、見た目の美しさだけでなく、スクリーンメッシュの「REVOメッシュウォールⅡ」や小型テントの「REVOルーム4プラスⅡ」など、様々なオプションを追加してカスタマイズできることです。

REVOメッシュウォールⅡ

REVOルーム4プラスⅡ

尚、以前のREVOタープはポールがセットになっていましたが、REVOタープ2からはポールが別売となっています。おすすめは、長さの異なる240と180を1セットづつ購入することです。2種類の計4本のポールを使うことで、色んな張り方を楽しむことができます。

ユニフレームとテンマクデザインとのコラボレーションモデル
REVO TARP L コットン

余談ですが、以前はテンマクデザインから、REVOタープのコットンバージョンが販売されていました。REVOタープの美しいデザインはそのままに、コットンにすることで難燃性を強化した製品で、スタイリッシュかつ実用性の高いタープでした。
へヴィメッシュは、さすがにコットンでは再現されていませんが、代わりにコラボロゴが配置されており、オリジナルのデザインを損ねることなく仕上げられています。


もしも、WILD-1の店頭で見かけたら、絶対に後悔しませんから買ってみてください(笑)。

Ogawa システムタープ ヘキサDX

Ogawa システムタープ ヘキサDX

テントの項目でも書きましたが、Ogawaは創業100年を超えるテントメーカーで、自衛隊にも業務用テントを収めているメーカーです。ですから、幕体の耐久性についても定評があり、高品質な商品が多くラインアップされています。
私がこのタープを進める理由は、そんな高い品質にもありますが、「小川張り」ができるタープという点です。「小川張り」とはキャンパーの間で広がった俗語で、写真のようなタープとテントを一体にしたような張り方のことを指しています。

このシステムタープ ヘキサDXが発売された当初、Ogawa(発売当初の社名は小川キャンパル)がこのテントとタープを一体化した張り方をカタログなどで提唱したことで、この張り方がキャンパーの間で静かに広がっていき、いつしか「小川張り」という名称で定着したのです。

セッティングテープ

小川張りの特徴であるテントと一体化した張り方は、タープの片方に「セッティングテープ」という複数のグロメットがついた長いテープをつけて延長し、ラチェットポールにグロメットを差し込んで張ります。グロメットが複数ついているので、テープの長さを調節でき、ポールもラチェットで高さ調整ができるため、各種テントに合わせてセッティングが可能になっています。

幕体についてですが、厚手のポリエステル210dにピグメントコーティングを施して遮光性を高めており、UVカット加工も行われています。そして、材質もさることながら、他に類を見ない秀逸な点があります。それは、“美しさ”です。

システムタープ ヘキサDX 上面図
上面図を見ていただければ判るとおり、片側の角の張り出しが極端に短くなっています。小川張りは、テントの前側(図の右側)を高くし、反対側はテントの屋根の高さに合わせ、そこからセッティングテープで持ち上げるように張ります。そのため、横から見るとテント側にタープが傾いた形の張り方になるので、テント側(図の左側)の張り出しを小さくすることで、それぞれの張りだしが地面に対して水平になるようにデザインされているのです。
こうしたデザイン上の工夫があるからこそ、テントと一体になった美しいシルエットが完成するのです。そして、この美しさこそが、多くのキャンパーを魅了している「小川張り」の真骨頂と言えるでしょう。
美しさばかり書いてきましたが、この張り方は当然実用性も高く、テントと一体となったタープ下は雨が降ってもツールームテント並みの居住性があります。
尚、小川張りは他のタープでも可能ですが(セッティングテープを自作したり、ロープで代用したりしている方が多数います)、せっかくならオリジナルの良さを体感してもらえればと思っています。

ちなみに、私もこれを持っていますが、焚火をガンガンに炊くので、Takibi-Tarp Cotton Hexaばかり使っていて、なかなか出動機会がありません(^_^;)。

コールマン スクリーンキャノピージョイントタープⅢ


コールマンは、スクリーンタープを豊富にリリースしているメーカーですが、これはエントリーモデルと言える製品です。4面フルメッシュにできるため、夏場でも通気性が良く、蚊帳の代わりとしても重宝します。また、コールマンのスクリーンタープは、テントとドッキングできる構造になっているので、ツールームテントのように使うことができます。

ogawaのアイレとドッキング

ドームテントとのドッキングは、コールマン以外でもたいていは可能ですので、別メーカーのテントを使っていても、このスクリーンタープを追加することで、ツールーム化することができます。
これは、特に冬場に威力を発揮し、タープ内で石油ストーブを使えばかなり快適に過ごすことができます。

難点は、ドーム部分でクロスさせたポールに4隅のコーナーポールを接続する際、けっこう力がいることです。コツをつかめば1人でも設営可能ですが、慣れないうちは2人で設営した方が良いでしょう。
また、ポールも、ドーム部がø12.5mmのFRP、コーナーがø19mmのスチールと、強度的にはちょっと不安があります。一応、風速10m以上の風が吹くふもとっぱらキャンプ場(上記写真)で使った時は耐えられましたので、ロープ(張り綱)でしっかり固定していれば大丈夫だと思います。
耐水圧が約1200mmと少し低めですが、この辺はエントリーモデルということで値段相応と言えるでしょう。私も何度か雨に降られていますが、雨漏りしたことはありません。
あと、ランタンフックが無いので、タープ内にランタンポールを設置する必要があります。

コールマン タフスクリーンタープ/400


こちらは、スクリーンキャノピージョイントタープⅢの上位モデルです。3本のアルミ合金製ポール(ø16mm)を交差させた形状で、強風に強い構造になっています。耐水圧も約2000mmに引き上げられており、ベンチレーターも付いているので、より快適に過ごすことができます。
設営の面でも、各ポールをスリーブに通してクリップで固定するだけですので、一人でも設営可能になっています。
ただ、残念ながら、こちらもランタンフックがありません。


タープは、いくら書いても書き足らない部分が多く、まだまだ紹介したいタープがあるのですが、今回はこのくらいにしておきます。いつも以上の長文となってしまいましたが、参考にしていただければありがたいです。

以上、キャンプに必要なもの(初心者向け)その3 タープ編でした。












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