折りたたみ自転車6段変速改造始末記(前編)

2023年1月23日

DIY

t f B! P L

実は、数年前、妻の実家から折り畳み自転車を貰いました。

義父が2004年に購入し、会社の最寄り駅から会社までの通勤に使っていたのだそうです。ただ、それ程距離があるわけでもなく、徒歩でも充分いける距離だったこともあり、じきに使わなくなってしまったとのこと。

で、長年死蔵されてきた訳ですが、勿体ないので使わないかという事になり、それならばと貰ってきたのがこの自転車。



ブリヂストンのトランジット ライトです。

トランジット ライトは、小型の折りたたみ自転車で、アルミフレームを採用していることもあって9.5kgと軽量な自転車です。

フロント16インチ、リア18インチという異形ホイールを採用しており、自転車としては珍しいタイプだと思います。


さて、貰って来たものの、妻は20年以上乗り続けているスクラップ寸前のママチャリを愛用しており、折角のトランジット ライトは、ずーっと物置に鎮座していました。

そこで、いっその事、変速機を付けてロードバイク的にサイクリングで使えるようにすれば、キャンプ&ポタリングに使えると思ったのが、今回の騒動の始まりです(苦笑)。


ブリヂストンのトランジット ライトについて

トランジット ライトは、2001年から2008年まで販売された折りたたみ自転車です。前述の通り、アルミフレームを採用しており、シングルモデルでは9.5kgと軽量な自転車です。

メインフレームのロゴに、Aluminiumと誇らしげに入っている。


フロントホールは16×1.50(16インチ×リム径1.5cm)で、リアホイールは18インチ×1.50(18インチ×リム径1.5cm)です。


前後異形ホイールを使っているのは、おそらく軽量化と速度のバランスを取った結果だと思います。前輪は少しでも軽量化・コンパクト化を図るため16インチに、後輪は多少なりともスピードが出るようにと、少し大きめの18インチを採用したのでしょう。

リム径が1.50というのは、18インチモデルとしては最も細いタイプですから、安定性・走破性よりも軽量化とスピードを重視していたことが判ります。


折りたたみ方式は、中折れ式で、かなりしっかりしたロック機構になっています。



ハンドルは、ダホンなどに見られる折りたたみ式ではなく、ハンドルで緩めて筒内に収納するタイプです。中折れ式に比べて、毎回ハンドルの位置調整を行う必要がありますが、よりコンパクトに収納可能です。


前後のギア数は、フロントが46T、リアが14T。ギア比は3.29と、一般的なママチャリの2.29~2.43に比べるとかなり高めです。但し、ママチャリのタイヤサイズは26インチが標準ですから、これは18インチと大幅に小さいハンデをカバーするための策です。


変速機については、シングルモデル以外に、内装3段変速モデルがあり、更にトランジットライト スポーツという外装7段モデルもありました。

義父から貰ったトランジット ライトは、シングルモデルです。


使用したパーツ

では、6段変速化に使用したパーツをご紹介します。


左上から、

上段:スプロケット、変速機

中段:チェーン、リアディレイラー

下段:シフトインナーケーブル、ディレイラーハンガー(正爪用)


スプロケットは、シマノの6段スプロケット(ボスタイプ) EMFTZ5006428。スポークプロテクター付きを買うか悩んだのですが、ちょっとでも安くあげるために無しをチョイス。


変速機は、シマノの6段変速対応のSLTX30R6AT(右用)。


チェーンは、シマノのHGチェーン 116L(6~8速用)CN-HG40。HG(ハイグレード)を名乗っていますが、一番安いエントリーモデルです(笑)


リアディレイラーは、種類が多くて少し悩みましたが、シマノのRD-FT35-A-MBに。トランジット ライトは、所謂ママチャリに近い構造のため、後輪の軸受けは、正爪と言われる形状になっています。リアディレイラーは、シマノから様々な種類が出ているのですが、6段変速対応の中で最もコンパクトなRD-FT35-Aをチョイス。タイヤサイズが18インチですから、大型のディレイラーだと、最悪地面を擦る可能性を考慮しました(それに安い!)。


シフトインナーケーブルは、変速機にケーブルが付属していないと思って購入したのですが、ケーブルが付属していたので不要になりました。まあ、170円と安かったので、予備パーツだと思っておきます(苦笑)。


ディレイラーハンガーは、リアディレイラーを取り付ける時に使うパーツですが、RD-FT35-A-MBは、正爪対応で軸受けに直付けできるため、不要でした(苦笑)。


あとは、シフトケーブルのアウター(チューブライナー)が無かったので、アウターのセットを近所のホームセンターで追加購入。


この他に、18インチのリアタイヤも購入しました。

左が購入したタイヤ、右がオリジナル

スプロケットを取り付けるためには、後輪のハブにスプロケット用のねじ切りが入っている必要があるため、タイヤごと交換となります。

私の使用したスプロケットは、ボスフリーと言う安価なタイプですので、タイヤもボスフリーのものを選択。

因みに、競技用などの本格的な自転車には、カセットフリーというタイプが使用されていますが、所詮、ママチャリレベルの折りたたみ自転車を改造するので、ボスフリータイプで十分です(笑)


リム径は、1.50から1.75にサイズアップ。それに合わせて、タイヤサイズも40×355から47×355にサイズアップ。

写真上が新しいタイヤ、下がオリジナル。


スピードよりも走行安定性を優先した・・・


と言いたいところですが、安い組み立て済みのタイヤセットが、18×1.75しか無かっただけです(笑)。


外装六段変速への改造方法

では、ここからは、改造の手順をご紹介します。ご紹介とか言ってますが、それはトラブルの連続でした(苦笑)。

リアタイヤの取り外し

先ずは、リアタイヤを外していきます。

ナットをモンキーレンチで外します。この状態では、チェーンがかかっているので、まだタイヤは外れません。


軸受けの先端に付いている、ママチャリ独特の「チェーン引き」を緩めると、車軸が緩んでチェーンを外すことができます。


これで、タイヤが外せます。


スプロケットの取り付け

私の購入したタイヤは、スプロケット装着用のねじ切りが、両方に付いているタイプでした。


で、あまり何も考えずにスプロケットを取り付けたのですが、軸に付いているナットの長さが左右で異なるので、フレーム取り付時に、ナットを追加して、幅を調整する必要がありました。


そのため、スプロケットを一旦取り外すハメに。
スプロケットは、組み付ける時は工具無しでいけますが、ハブが内蔵されているので、取り外すためにはボスフリー抜きという専用工具が必要となります。

ボスフリー抜き。ギザギザの方をスプロケットに挿し込んで、モンキーレンチで回すための専用工具。

念のため、パーツ類と一緒に買っておいて良かったー(^_^;)

で、改めて、タイヤを軸受けにはめて見て、隙間を確認。



左側のハブを装着する方(写真は自転車をひっくり返しています)に、ナットを追加してスペースを埋める必要があることが判りました。

ということで、追加で、自転車用ハブナットを購入。


リア用の9mm幅のナットに、更に5mm幅のナットを追加。


改めて、スプロケットを装着。

フレームに取り付け成功ですが・・・

この後、更なる試練が・・・(苦笑)


リアディレイラーの取り付け

リアディレイラーは正爪用を選択したので、そのままポン付けできます。

先ずは、付属のD型の金具を軸受けにはめます。

あとは、ディレイラーを取り付けるだけなのですが・・・


ディレイラーを取り付けると、ハブが回りません!!

よくよく確認すると、スプロケットにディレイラーを留めるD型の金具が当たっていて、それで回らなくなっていました。

仕方が無いので、ホームセンターに行って、幅2mmのステンレスワッシャーを購入。

スプロケット側のボルトとフレームの間にワッシャーを追加。
写真上がD型金具、下が2mmのステンレスワッシャー。

クリアランスがミリ単位なので、ちょっと気になりますが、とりあえずは良しとします(苦笑)。


変速機の取り付け

変速機は、右側用ですので、ベルを外して左に移動させ、そこに取り付けることにしました。

で、変速機を取り付けるためには、グリップを外さないといけません。


これが、固くてタイヘン(;´Д`)

まあ、当たり前ですが、グリップがぐりぐり動くようでは乗るのに支障をきたしますから、がっちり食いついている訳です。

そこで、マイナスドライバーでこじ開けて、潤滑油を吹きながら、格闘する事数分。

バッチリ、取付完了!!


あとは、チューブライナーをセットしていきます。

シマノの説明書きでは、製品名の刻印がある方が変速機側だそうですので、それに倣って、シフトケーブルを挿入していきます。

キャップ部分まで挿し込んだら、変速機側は一旦終了。


シフトケーブルを、フレームにセットしていきます。

トランジット ライトには、3段変速モデル用に、シフトケーブルを通す台座が付いているので、そこを通すときれいにケーブルをまとめられます。

後輪側は、リアブレーキケーブルに沿って合わせていき、ディレイラーに無理なくはまるように長さを調整。


長さが決まったら、一旦インナーケーブルを抜いて、チューブライナーをワイヤーカッターでカット。


チューブライナーは、金属線が入っているので、ペンチで切るのはかなりしんどいですから、ワイヤーカッターを購入することをおススメします。

その後、再びインナーケーブルを通し、チューブライナー先端のキャップをはめて、ディレイラーに挿入。


ディレイラーにインナーケーブルを留めて、最後にアルミ製のインナーキャップをペンチで潰して留めます。



あとは、シフトケーブルを結束バンドでフレームに固定すれば完成です。


チェーンの取り付け

チェーンは、6段変速に改造していますから、元のチェーンは長さが足りませんので、購入した6~8速対応のチェーンに取り替えます。

先ずは、新しいチェーンをギアに通していきます。スプロケットからリアディレイラーへ、S字になるように通していきます。

ここで、登場するのが、チェーンカッター。

カッターという名が付いていますが、チェーンのピンを押し出して取り外したり、新たなピンを押し込んだりする道具です。

先ず、付属のワイヤーで、チェーンを繋いで固定します。


ここで、チェーンの長さを調整します。

ディレイラーは、スプロケットとのチェーン位置を調整すると同時に、チェーンのテンションの調整も行っています。

ですから、6段(リアの一番小さなギア)の状態で一定のテンションがかかる位置にディレイラーが来ている状態にしつつ、1段(リアの一番大きなギア)の状態でも、ディレイラーのテンション調整が破綻しない位置に調整する必要があります。

ディレイラーの適正位置については、種類によって異なりますが、私の使用したRD-FT35-A-MBでは、だいたい以下の位置に調整することでうまくいきました。

6段


1段


チェーンの長さが決まれば、あとはチェーンカッターで、チェーンを繋ぐだけです。

先ず、不要なチェーンをカットします。

カットしたい位置で、チェーンのピンにチェーンカッターのピンを合わせて、ねじ込んでいきます。


チェーンが外れました。


次に、チェーンのもう一方の先端を繋ぎ、付属のピンをチェーンカッターで押し込んでいきます。



下記の写真のように繋がれば完成です。


チェーンを取り付けて初めて気が付いた大問題!

さて、チェーンが繋がったので最早完成したも同然と思っていたのですが・・・。


ペダルを回すと、直ぐにガチャン!!

と、チェーンが外れてしまいます。


なんでやー(;´Д`)


よくよく観察すると、なぜか、フロントギア側のチェーンが浮いています。


何かおかしいと思い、元のチェーンとシマノのチェーンを並べて観ると・・・

左が購入したシマノのチェーン、右がオリジナルのチェーン。

チェーンの太さが違う!!


よくよく調べてみると、ギアが厚い厚歯用チェーンと、外装変速に対応したギアがより薄い薄歯用チェーンがあるとのこと!


そんなん知らんがな (´Д`)


学生時代には、ロードバイクやMTBを乗り回していた私ですが、厚歯と薄歯があるなんて初めて知りました。

トランジット ライトのフロントギア。
そういわれると確かに分厚いですが、そんな事、全く気が付きませんでした。


それもそのはず、厚歯は、競技用BMXのような特殊な自転車に使用されており、ママチャリも含め、一般的には薄歯が使用されているとのこと。


クソー (-_-メ)


ブリヂストンもブリヂストンです。

トランジット ライトは、ミニベロサイズの折り畳み自転車とは言え、用途的にはママチャリの域を出ないわけですから、何故わざわざ厚歯にしたのか理解に苦しみます。

それとも、折り畳みBMXとして売り出すつもりだったのでしょうか(そんなアホな!)。



ここまで苦労して改造してきたのに、チェーンが付けられなければ意味がありません。



こうなったら、やる事は1つしかありません。


(; ・`д・´)


続く











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