PS5をホームシアターに組み込むのに困った話

2022年8月25日

コラム

t f B! P L

今回は、キャンプの話では無くて恐縮ですが、私のもう一つの趣味、ホームシアターのお話です。

私は、自宅のリビングに9.1chのサラウンドシステムを導入しています。

2016年に新築を購入したのですが、建築時にCD配管をリビング天井に張り巡らしてもらい、スピーカーケーブルやHDMIケーブルを導入できるようにしました。

サラウンドスピーカーは、リビングのフロアに配置すると邪魔になるため、天井吊り下げにしました。

プロジェクターはエプソンのEH-TW6600、スクリーンはシアターハウスの120インチ。

AVアンプは、9.1ch対応のAVENTAGE RX-A3050。

スピーカーレイアウトは、RX-A3050を導入することを前提としていたため、ヤマハのシネマDSPを最大限に引き出すため、正面上部にプレゼンススピーカーを配置する9.1ch仕様にしました。スピーカー類は、流石に買い替える余裕が無かったので、前のマンションで使用していた6.1chのスピーカーを流用しつつ、足りない分を追加購入。

当時はまだ、ドルビーアトモスが出てきたばかりの頃でしたので、あまり天井スピーカーの事は意識していなかったのですが、サラウンドスピーカーを天井吊り下げにしてしまったため、上空間のサラウンド効果が得られなくなってしまいました(苦笑)。


スピーカーケーブルは、業務用のCANARE 4S8の100m巻を購入して配線。4S8は、安いですが、バイワイヤ対応の4芯構造で、癖の無い音質に定評があります。まあ、サラウンドスピーカーの引き回しに全部で80m近く使いますので、モンスターケーブルなどのバカ高いケーブルは使えません!

HDMIもCANAREの1.4対応を15m購入。HDMIは伝送距離が長いとエラーになるので、短くしたかったのですが、CD管の長さと、壁からアンプまでの長さを考慮すると、15mは必要でした。結果としては、プロジェクタで視聴時に、最初の5分ぐらいの所で必ずエラーになって一瞬映像が途切れるのですが、それを除けば快調に使えています。


以上、改めて私の現在のシアターシステムをまとめると下記の通りです。

AVアンプ:ヤマハ AVENTAGE RX-A3050

メインスピーカー:ヤマハ NS-325F×2

センタースピーカー:ヤマハ NS-C325

サラウンドスピーカー:ヤマハ NS-M325×4、パイオニア S-CN301-LR×2

サブウーファー:ヤマハ YST-SW315

プロジェクタ:エプソン EH-TW6600

モニタ:ソニー ブラビアXRJ-50X90J

その他:業務用LDデッキ2台、HDDレコーダー2台


プロジェクタは、HD対応なので、Blue-RayやBSデジタルを楽しむのにベストです。4K対応のプロジェクタも大分値段がこなれてきましたが、色々と問題があるので、今の所は見送っています。

モニタは、4K120HzやVRRといった最新の映像フォーマットに対応したソニーの50インチモデルを2021年に導入。これは勿論、SP5に対応することを意識した結果です。

スピーカー類だけは、2003年頃から使用している物を流用し続けているので、かなり古いです。正直、アンプの性能に負けているので、メインスピーカーとサブウーファーは買い替えたいのですが、全体のバランスが崩れそうなことと、スピーカーは上を見ればキリがないということも相まって、未だに更新していません(苦笑)。


さて、ここからが本題、この環境にPS5を導入するのに困ったことが起こりました。


PS5は、ゲーム機ではありますが、画像出力は最新式の4KHDR対応で、4K ULTRA HDブルーレイの再生にも対応しているため、AV機器としても優秀です。余談ですが、かつて、PS3の初期バージョンは、筐体がとてつもなくガッチリしていたため、CDプレイヤーとしても超優秀だったため、オーディオマニアからも注目されていました。我が家でも数年前までは、CDプレイヤーとして活躍していましたが、HDDレコーダーを追加した時に場所を譲ることになりました(苦笑)。

私は、ゲーム好きでもありますが、AVマニアでもありますから、当然PS5には4K ULTRA HD(以下4K UHD)のプレイヤーとして期待していました。現状のシステムでは、プロジェクタが4Kに対応していないので、当然ブラビアXRJ-50X90Jで観ることになります。


問題は、音声の方です。

4K UHDに収録されているドルビーアトモスなどのサラウンドを再生するためには、当然AVアンプに接続することになります。この場合、PS5→AVアンプ→テレビの順にHDMIケーブルで接続します。

RX-A3050(以下3050)は、YAMAHAの2015年のフラッグシップモデル(セパレート式アンプを除く)で、定価27万という高級モデルです。当時まだ出始めだった、オブジェクトオーディオのドルビーアトモスにも対応しており、HDMI端子も4K60pまでカバーしていました。そんなことで、私も、これを買っておけば10年は使えるだろうと思っていたのです。

1080 24pとHDで出力された。4KUHDソースは「竜とそばかすの姫」。
CGだが、非常に細かい描写とダイナミックな色調は、モニタテストにもうってつけ。

で、PS5をアンプに繋いでみたのですが、ブラビアには1080i(HD)で出力されてしまいます。そこで、PS5側の解像度設定を見直して、2160p(4K)固定にすると、ブラビア側もめでたく4Kに。

ところが、HDRをオンにしようとすると、「現在接続しているHDMI機器は2160p/HDRに対応していないため1080pが適用されます」と出ます。


あちゃー


3050は、BT.2020を含むHDR映像伝送や、4K/60p4:4:4映像信号のパススルー対応を謳っていたため、PS5を4Kブルーレイプレイヤーとして使うのには問題ないと思っていたのですがうまくいきません。HDRの一部機能についてはファームウェアで対応されていたので、最新Ver.にアップデートしていたのですが、それでもダメでした。

3050は4K UHDに対応しているので、本来であれば、PS5とHDMIで接続し、テレビへスループットすればOKのハズなのですが、どうやってもうまくいきません。

色々調べたのですが、今回問題になったのは、HDMI規格のようです。2015年発売の3050は、スペック表にはHDMIのバージョンは示されていませんが、年代からすると2.0と思われます。2.0は4K/60pのHDRに対応しているため、理論上はPS5からの信号を処理できるはずなのですが、なぜか4K/60pまでしか対応できていません(HDRにすると解像度がHDに落ちる)。

ちなみに、ケーブルは全て2.1対応の物を使用しています。

ここで疑問が生じるのが、4K UHDのHDMI規格についてです。4K UHDは、2009年に規格化されたHDMI1.4に対応しています。更に、最新の4K UHDでは「ジェミニマン」などのように4K/60pのコンテンツも発売されており、伝送帯域的には18Gbpsとなるため、2013年に規格化されたHDMI2.0が必要となります。3050はHDMIのどの規格に対応しているかは明言されていませんが、スペック的には2.0まで満たしているので、本来はPS5で再生された4K UHDの信号を処理できるはずなんです。

ところがそうならないということは、どうも3050側のチップの問題な気がします。一言で4K UHDと言っても、伝送される信号は、解像度、コマ数、色信号、音声チャンネルなど多岐に渡るため、複数のチップが組み合わされて信号処理をすることになります。特に映像については、解像度、コマ数、色信号の3種類の組み合わせが複雑なため、アンプ側(3050)とプレイヤー側(PS5)の相性があるようです。2016年というのは、丁度HDMI2.1が完成する2年前であり、2013年に規格化された2.0がようやく普及し始めたころでもあります。とどのつまり、3050が発売された当時は、2.0が規格化されていたものの、それに完全に対応したチップが普及しておらず、個別に組み合わせて作り上げたところ、スペック的には満たしていても、いざHDMIケーブルで信号を伝送するとうまく処理できないという事態に陥っているようです。

ましてや、3050から5年後に発売されたPS5との相性など、想定できるはずも無く、まあ無理もないと言えばそれまでなのですが・・・

それにしても解せないのが、スループット(映像信号をそのままテレビに出力すること)だけのことなのに、アンプ側のチップがごちゃごちゃと効いてくることです。まあ、リップシンク対応もあるため、単純に出しているだけでは無いのですが、こんなトラブルになるぐらいなら、完全なスルーで信号を出してほしい所です(> <)。


結局、厳密に2.0に対応していない3050が悪いのか、2.0スペックのAVアンプを正しく認識して出力できないPS5が悪いのか分かりませんが、PS5の信号をAVアンプ経由でテレビ出力することは諦めました。


そうなると、今度は、音声信号だけをAVアンプに出すことは出来ないかと考えてみました。実は、最近のTVなどは、ARC(Audio Return Channel:オーディオ・リターン・チャンネル)という機能を搭載しています。簡単に言えば、テレビとサウンドバーなどの音声機器をHDMIで繋げて、テレビの音声を外部機器で再生するための規格です。

この機能を使えば、「PS5→テレビ→AVアンプ」と繋げられ、4K映像はテレビで、サラウンド音声はAVアンプで再生することが可能になります。

2021年発売のXRJ-50X90J(以下X90J)は、ARCの機能が付いており、3050もARCに対応していますので、今度はイケると思ったのですが、もう一つ落とし穴がありました。ARCの規格には、リニアPCM(ステレオ)または、BS放送などで採用されているMPEG-2 AACや、DVDなどのDolby TrueHDやDTS-HD Master Audioに対応した「ARC」と、ブルーレイ等で採用されているDolby TrueHDやDTS-HD Master Audioといったロスレスコーデックに対応した「eARC」の2種類があるのです。

X90Jは最新の「eARC」に対応していますが、肝心の3050はARCにしか対応していませんでした。そのため、4K UHDに収録されているドルビーアトモスなどの最新サラウンド音声が再生できないのです!!

一応、テレビには光ケーブルの出力も付いていたので、3050に接続してみたのですが、案の定、音声は見事にステレオに・・・


(´・ω・`)ショボーン


実は、4K UHDプレイヤーには、HDMIの出力が映像用と音声用に2系統付いているモデルがあるので、PS5をあきらめてプレイヤーを買えば解決できるのですが、そうなると今度は、PS5のゲームをサラウンドで楽しむことができなくなります。それに、PS5を4K UHDプレイヤーとして使いたいからディスクドライブモデルをわざわざ買った訳で、そうでなければ最初からドライブ無しのデジタルエディションを購入していました。

あとは、HDMIの信号を2系統に分配する機器もあるので、それを導入することも考えたのですが、PS5から出力されたHDMI信号をアンプ側が受け取ろうとした時に、正常に処理できない可能性が高く(つまりはPS5側からダメ出しされる)、こちらも断念することにしました。


私が、4K UHDに拘るのにはそれなりの理由があります。

最近は、YouTubeを始めとする各種ストリーミングサービスで4K動画を簡単に楽しめるようになりましたが、ビットレートが低く、映像品質的には決して良いとは言えません。特に、今回テストで使用した「竜とそばかすの姫」のようなダイナミックレンジが広く、微細なパーティクルが画面全体に表示されるようなCG映像は、H.265のような不可逆圧縮にはかなり辛いソースとなります。

その点、XRJ-50X90Jで観る4K HDRは素晴らしく、ベルのコンサートシーンで氷の結晶のような光が画面全体に舞うシーンなどでも、ノイズ感を感じず、非常にクリアに再現されていました。こういったソースを観ると、4K UHDというメディアの実力を改めて再認識できます。



さて、最後にまとめておくと、我が家で4K UHDをネイティブで楽しむための選択肢は以下の通りです。

①諦めてHDMI出力が2系統ある4K UHDプレイヤーを買う

②HDMI2.1対応アンプに買い替える

①は既に説明した通り、負け感が強いので二の足を踏んでいます。

②は一番現実的なのですが、現在のYAMAHAで9.1ch対応のAVアンプはRX-A6Aとなり、価格は30万近くとなります。値段的にも手が届きませんが、半導体不足の影響で品薄状態が続いていることもあり、値引きも期待できません。


3050を導入した当時は、まだ4Kは高嶺の花で、いずれ導入した時に使えればと思っていたのですが、まさかこんな落とし穴があるとは思いませんでした。

10年は使えると思って20万近く出したのですが、5年で使えなくなるとは思いませんでした(トホホ)。


と、このページで愚痴を言っていたら、匿名の方からコメントを頂きました。

何と、デフォルト設定では4K60pのHDRに対応していないとの事。

マニュアル通り4Kの設定をMODE1にすると、無事4K HDRであっさり出力されました!!


(≧▽≦)


まさか、こんな落とし穴があるとは・・・


今回の教訓


困ったらマニュアルは絶対に読もう



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