Made In Japanのヴィンテージアルコールバーナー Pitorch KOCHER(パイトーチ コッヘル)

2021年5月24日

キャンプ沼 バーナー

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理工開発株式会社


この社名についてネットで色々調べた所、正確な情報は見つかりませんでしたが、理科の授業などで使う実験器具を製造していた会社のようです。


Pitorch KOCHER(パイトーチ コッヘル)


アルコールバーナー、Pitorch KOCHER(パイトーチ コッヘル)の製造元です。


Pitorch(パイトーチ)は、バーナー部分のみでも販売されていたようで、「パイトーチ」で検索すると、実験器具販売会社の古いページがいくつか出てきます。

関係があるのか判りませんが、株式会社パイトーチという会社が大阪市西淀川区にあるようです。但し、法人情報を調べてみると、最終更新日が2015年ですから、今でも存続しているかは不明です。


出所がナゾなアルコールバーナーではありますが、何せ実家から先日発掘してきた、35年以上前の製品ですから、仕方がありません(発掘時のことについてはこちら)。



さて、今となってはナゾの多いパイトーチですが、性能は一級品です。


パイトーチの燃焼

火力は、現在販売されているアルコールバーナーと比べても、上の方だと思います。


ポイントは、銅製のループ状のパイプです。


パイトーチのループ状のパイプ

パイプ内には、耐熱性の繊維が入っており、これが毛細管現象によって液体のアルコールを吸い上げます。
ループ部分は、液体燃料バーナーでいうところのヴァポライザー(ジェネレーター)の役割を果たしており、ここが加熱されることで、ループ全体が温まり、吸い上げたアルコールを気化します。

ループ下部には小さい穴が空いており、ここから気化したアルコールが噴射する仕組みになっています。

パイトーチのループ状のパイプ

ですから、パイトーチは、アルコールバーナーなのに、ガスが噴射する音がします。


動画を見ていただくと、シュォーという音がしているのが分かるかと思います。調子が良い時はキーンというジェットエンジンのような音がするのですが、撮影時には条件を色々変えてみたのですが、キーンとは鳴ってくれませんでした(^_^;)

この音が、トランギアに代表される、現在のアルコールバーナーとの最大の違いで、私が気に入っている点でもあります。

シュォーという音は、単にカッコいい(?)というだけでなく、バーナー全体が温まって、最大出力になったという合図でもあります。

パイトーチの仕組み

バーナー部を裏返すと、銅パイプからの熱伝導で、本体を温めてアルコールの気化を促進する構造になっていることが分かります。これによって、タンク内の圧力を高め、アルコールガスの噴射量を増加させ、パイトーチ特有の高火力を得ています。

パイトーチの点火

パイトーチには、このループの数が、1本から3本まで存在しており、ループの数が多いほど、高出力ということになります。


このバーナーの欠点は、パイプでアルコールを吸い上げるという構造上、どうしても燃料が少し残ってしまうことです。

パイトーチの構造

とは言え、燃料を丁度使い切ることは滅多にないので、消火の度に燃料ボトルに戻せば良いだけです。

このバーナー、親父が昔買った物なのですが、火力が弱いということで殆ど使っていませんでした(ガソリンバーナーに比べればの話ですが)。そのためか、痛みは殆どなく、35年以上もほったらかしになっていたのに、メンテナンス無しで使うことができました。


それにしても、このバーナーを眺めていると、昔の日本の工業製品の良さを実感します。
バーナー兼フタと胴体は、回して締める構造なのですが、合わせ部分がミリ単位で合うように作られています。

パイトーチの構造

シリコン製と思われるパッキンも、経年劣化を全く感じません。

パイトーチの外観

ナシ地加工が施された風防といい、アルコールを気化させる構造といい、古き良きMade In Japanを体現しています。

パイトーチのクッカーの底に日本製と刻印されている


パイトーチ コッヘルは、バーナー部分の「パイトーチ」と、コッヘルが一体となった製品です。

Pitorch KOCHER(パイトーチ コッヘル)の全て

内容は、バーナー、風防、ゴトク、コッヘル(外)、コッヘル(内)、コッヘル用ハンドル、フタです。

パイトーチのコッヘル

コッヘルはアルミ製で、外側のコッヘルが満水容量800ml、内側のコッヘルが丁度1Lです。

パイトーチ コッヘルのフタ

フタもクッカーとして使えそうに見えますが、ハンドルが合いません。

特徴的なのが、飯盒として使用できるよう、内側のコッヘルに1合、1.5合、2合と目盛りが振ってあることで、米と水の量が分かるようになっています。

パイトーチ コッヘル 飯盒に使用できる
数値の下のラインが米の量、上のラインが水の量を表しているので、米や水の量を測る必要が無い。

パイトーチ コッヘル 飯盒として使用

写真は、米2合に水を入れた状態です。

パイトーチ コッヘル ご飯の炊き方

このまま炊いても良いのですが、フタの大きさがコッヘルに合いませんので、外側のコッヘルに移して炊きます。

パイトーチ コッヘル ご飯の炊き方

こうすると、ハンドルがフタの押さえになって炊きやすいです。また、火から下ろす時もハンドルを持てるので便利です。

バーナーは、アルコール容量が80ml程度で、燃焼時間が15~18分ですから、丁度2合炊くのに良い分量です。

パイトーチ コッヘル ご飯の炊き方

15分でフタを開けるとこの通り。
底は少し焦げてしまいましたが、いい感じで炊きあがりました(*'ω'*)

この時の天候は、晴れ、気温20℃ほどで、微風でしたから、アルコールバーナーには良いコンディションでした。

パイトーチ コッヘル カレー

ごはんを蒸らしている間に、アルコール燃料を追加して、カレーを温めます。

パイトーチ コッヘルでカレーライスを食べる

ソロクッカー定番、カレーライスの完成です。
余談ですが、無印良品の「3種の唐辛子とチキン」は、かなり辛かったです。辛い物好きの私でも、結構辛いと思うぐらいですから、苦手な人は絶対に手を出さない方が良いと思います(笑)。


パイトーチ コッヘルは、しっかりとしたゴトクが付いていますので、付属のクッカー以外にも、シェラカップやフライパンなど、色々な調理器具が使えます。

パイトーチ コッヘル ゴトク

火力も、アルコールバーナーにしては高火力なので、スキレットでベーコンを炒めて目玉焼きを焼くぐらいは十分可能です。


パイトーチについて調べていて気が付いたのですが、近年はヤフオクなどで高値で取引されているようです。状態によっては2万円以上の高値が付いています。
正直、そこまで出すのはどうかと思いますが、確かに良い製品なので、リバイバル品が出ないかなーと思ってます。


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