理工開発株式会社
この社名についてネットで色々調べた所、正確な情報は見つかりませんでしたが、理科の授業などで使う実験器具を製造していた会社のようです。
アルコールバーナー、Pitorch KOCHER(パイトーチ コッヘル)の製造元です。
Pitorch(パイトーチ)は、バーナー部分のみでも販売されていたようで、「パイトーチ」で検索すると、実験器具販売会社の古いページがいくつか出てきます。
関係があるのか判りませんが、株式会社パイトーチという会社が大阪市西淀川区にあるようです。但し、法人情報を調べてみると、最終更新日が2015年ですから、今でも存続しているかは不明です。
出所がナゾなアルコールバーナーではありますが、何せ実家から先日発掘してきた、35年以上前の製品ですから、仕方がありません(発掘時のことについてはこちら)。
さて、今となってはナゾの多いパイトーチですが、性能は一級品です。
ポイントは、銅製のループ状のパイプです。
パイプ内には、耐熱性の繊維が入っており、これが毛細管現象によって液体のアルコールを吸い上げます。
ループ部分は、液体燃料バーナーでいうところのヴァポライザー(ジェネレーター)の役割を果たしており、ここが加熱されることで、ループ全体が温まり、吸い上げたアルコールを気化します。
ループ下部には小さい穴が空いており、ここから気化したアルコールが噴射する仕組みになっています。
ですから、パイトーチは、アルコールバーナーなのに、ガスが噴射する音がします。
動画を見ていただくと、シュォーという音がしているのが分かるかと思います。調子が良い時はキーンというジェットエンジンのような音がするのですが、撮影時には条件を色々変えてみたのですが、キーンとは鳴ってくれませんでした(^_^;)
この音が、トランギアに代表される、現在のアルコールバーナーとの最大の違いで、私が気に入っている点でもあります。
シュォーという音は、単にカッコいい(?)というだけでなく、バーナー全体が温まって、最大出力になったという合図でもあります。
バーナー部を裏返すと、銅パイプからの熱伝導で、本体を温めてアルコールの気化を促進する構造になっていることが分かります。これによって、タンク内の圧力を高め、アルコールガスの噴射量を増加させ、パイトーチ特有の高火力を得ています。
このバーナーの欠点は、パイプでアルコールを吸い上げるという構造上、どうしても燃料が少し残ってしまうことです。
とは言え、燃料を丁度使い切ることは滅多にないので、消火の度に燃料ボトルに戻せば良いだけです。
このバーナー、親父が昔買った物なのですが、火力が弱いということで殆ど使っていませんでした(ガソリンバーナーに比べればの話ですが)。そのためか、痛みは殆どなく、35年以上もほったらかしになっていたのに、メンテナンス無しで使うことができました。
それにしても、このバーナーを眺めていると、昔の日本の工業製品の良さを実感します。
バーナー兼フタと胴体は、回して締める構造なのですが、合わせ部分がミリ単位で合うように作られています。
シリコン製と思われるパッキンも、経年劣化を全く感じません。
ナシ地加工が施された風防といい、アルコールを気化させる構造といい、古き良きMade In Japanを体現しています。
パイトーチ コッヘルは、バーナー部分の「パイトーチ」と、コッヘルが一体となった製品です。
内容は、バーナー、風防、ゴトク、コッヘル(外)、コッヘル(内)、コッヘル用ハンドル、フタです。
コッヘルはアルミ製で、外側のコッヘルが満水容量800ml、内側のコッヘルが丁度1Lです。
フタもクッカーとして使えそうに見えますが、ハンドルが合いません。
特徴的なのが、飯盒として使用できるよう、内側のコッヘルに1合、1.5合、2合と目盛りが振ってあることで、米と水の量が分かるようになっています。
数値の下のラインが米の量、上のラインが水の量を表しているので、米や水の量を測る必要が無い。 |
写真は、米2合に水を入れた状態です。
このまま炊いても良いのですが、フタの大きさがコッヘルに合いませんので、外側のコッヘルに移して炊きます。
こうすると、ハンドルがフタの押さえになって炊きやすいです。また、火から下ろす時もハンドルを持てるので便利です。
バーナーは、アルコール容量が80ml程度で、燃焼時間が15~18分ですから、丁度2合炊くのに良い分量です。
15分でフタを開けるとこの通り。
底は少し焦げてしまいましたが、いい感じで炊きあがりました(*'ω'*)
この時の天候は、晴れ、気温20℃ほどで、微風でしたから、アルコールバーナーには良いコンディションでした。
ごはんを蒸らしている間に、アルコール燃料を追加して、カレーを温めます。
ソロクッカー定番、カレーライスの完成です。
余談ですが、無印良品の「3種の唐辛子とチキン」は、かなり辛かったです。辛い物好きの私でも、結構辛いと思うぐらいですから、苦手な人は絶対に手を出さない方が良いと思います(笑)。
パイトーチ コッヘルは、しっかりとしたゴトクが付いていますので、付属のクッカー以外にも、シェラカップやフライパンなど、色々な調理器具が使えます。
火力も、アルコールバーナーにしては高火力なので、スキレットでベーコンを炒めて目玉焼きを焼くぐらいは十分可能です。
パイトーチについて調べていて気が付いたのですが、近年はヤフオクなどで高値で取引されているようです。状態によっては2万円以上の高値が付いています。
正直、そこまで出すのはどうかと思いますが、確かに良い製品なので、リバイバル品が出ないかなーと思ってます。