薪から出る白い粉はひょっとして虫が原因?

2020年2月5日

焚火

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去年の11月に薪にカビが生えたことについて書きましたが(詳細はこちら)、その後も一部の薪でカビのような白い粉が発生していました。一度、白い粉を払い落としておいたのですが、再び発生していました。


よくみると、どうもクヌギの薪から発生しているようで、一緒に積んでいた他の薪からは粉は出ていないことが分かりました。


割った時期は同じですので、普通のカビであれば樹種に関係なく発生すると思うのですが、この謎の白い粉はクヌギの薪だけに発生しています。多少の乾燥の進み具合の違いはあるでしょうが、クヌギ以外の薪には全く粉が発生していないことから、どうもクヌギに原因があるようですので、調べてみると思わぬ虫に行き当たりました。


その名も、カシノナガキクイムシ

左が雌・右が雄
出典:独立行政法人 森林総合研究所関西支所 発行「ナラ枯れの被害をどう減らすか

体長5mm、幅1.5mmほどの小さな虫で、カシやナラ類の木の幹に穴を掘って生活しています。カシノナガキクイムシ(カシナガ)は、体にポケットのようなものがあり、その中で菌類を保持するという特性があります。そして、その菌を木の幹に掘った穴の中で繁殖させ、自分のエサにするという厄介な虫です。更に、カシナガは木の中で卵を産んで、その幼虫も菌を食べて成長するため、このナラ菌がドンドン木の中で増えていきます。

この菌は、学術名Raffaelea.quercivora、俗に「ナラ菌」と言われる菌で、これが木の幹の中で増殖すると、道管(水の通り道)を塞いでしまうため、木の全体に水が行きわたらなくなり枯れてしまいます。これを、ナラ枯れと呼んでいますが、実は全国的な被害が出ており、林野庁を始め、関係者が大変苦労していることが分かりました。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/naragare_R1.html


カシナガによる被害を受けたと思われる薪を観察してみると、確かに道管あたりに集中して粉が吹いています。


割った薪の側面からも点々と粉が吹いていますが、粉を払っても穴は空いていないので、虫が食べて粉を吹いている訳ではないようです。


カシナガが食い荒らしたのであれば、1.5mmほどの小さな穴が空いているはずなのですが、そういった穴は発見できませんでした。


ただ、1cm近い大きな穴は、いくつかの薪に見られました。これは、たぶんカミキリムシなどのもっと大型の甲虫類が空けた穴だと思われます。

カシナガは、6~8月に成虫が元の木から脱出し、新たな木に穿入(穴を空けて侵入する)します。その後、秋に卵を産んで、ふ化した幼虫が翌年まで木の中で育ち、成虫となって新たな木に飛んでいきます。私の薪は、12月末に入手した物ですので、ナラ菌が幹の中でどんどん増えている時期に伐採されたのだと思います。
その後、私が薪にしてしまったので、乾燥が進みナラ菌も増殖できなくなったのでしょう。事実、春から夏頃にはこの粉吹き現象は見られませんでした。
ところが、今年の夏から秋にかけて雨が多かったので、軒の下で雨ざらしになった薪が水を吸って、ナラ菌が再度繁殖したのではと考えています。ただ、薪が雨水をそんなに吸い込むかと言われると微妙なので、本当の所は私も良く分かりません(苦笑)。

今回は、カシナガの成虫や幼虫を発見できなかったので、粉の正体をカシナガのナラ菌と断定するには至りませんでしたが、色々と勉強になりました。
もし、皆さんの持っている薪が白い粉を吹いていたら、1.5mmほどの小さな穴が空いていないか調べてみてください。ひょっとすると、カシノナガキクイムシを発見できるかもしれません。


参考文献
小林正秀・上田明良(2005)「カシノナガキクイムシとその共生菌が関与するブナ科樹木の萎凋枯死被害発生要因の解明を目指して」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs2005/87/5/87_5_435/_pdf

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