加圧式ランタンの正しい使い方

2019年9月13日

キャンプtips ランタン

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私は、これまで様々なランタンを使ってきましたが、結局加圧式ランタンに落ち着きました。そこで今回は、加圧式ランタンの使い方をまとめてみました。ランタンベースで記載していますが、バーナーも基本的な構造は同じですので、武井バーナー(パープル・ストーブ)やマナスルなどのマニアックなバーナーに興味がある方もお付き合いいただければ幸いです。


加圧式ランタンの構造

先ずは、加圧式ランタンについて、簡単に説明します。
加圧式ランタンは、燃料に灯油(ケロシン)を使うタイプとガソリンを使うタイプがあります。


構造的には、まずはタンク内に空気を送り込んで加圧し、その圧力で燃料をタンクから送り出します。
送り出された燃料は、そのままでは液体ですので、気化してガス化する必要があります。
液体状の燃料はジェネレーター(ヴァポライザー)の中で気化されますが、燃料を気化するためには、ジェネレーターを温めておく必要があり、この予熱のことをプレヒートと呼びます。
ジェネレーターで気化された燃料は、空気と混合され、チムニーを通ってノズルからマントルの中に噴き出し、そのガスに着火することで光を放ちます。
一度着火してしまえば、マントルの熱でジェネレーターが加熱されるため、燃料は安定して気化されます。
燃焼を続けると、タンク内の燃料が減ってきて圧力が低下するので、適宜ポンピングします。

加圧式ランタンの点火方法

点火手順としては、以下の通りです。
  1. ノズルにマントルを付ける
  2. 灯油をタンクに入れる
  3. タンクに加圧するためにポンピングを行う
  4. プレヒートを行う
  5. 充分に温まったら、バルブをオープンする
プレヒートを4番目にしていますが、後述する余熱バーナーを使わない場合は、ポンピングの前に余熱用アルコールに点火する方が、プレヒートを行いながらポンピングできるため時間短縮になります。

マントルは、糸にトリウムとセリウムという化学物質を染み込ませた物を網状に編んだもので、空焼きをすることで糸が燃え尽き、残った灰状の化学物質が、着火したガスと反応して光ります。


そのため、空焼き後のマントルは非常に壊れやすく、ちょっと触っただけで穴が空きます。
ただ、穴が空かない限りは再利用可能ですので、使用後はなるだけ振動を与えないようにすれば、何回でも使用可能です。

タンクに入れる燃料は、7~8分目が良いとされています。これは、満タン近くまで入れてしまうと、ポンピングして空気を送り込んでも、空気量が少なくてすぐ圧力が抜けてしまうためです。燃料をタンクから送り出すために加圧するわけですから、タンク内にある程度は空気が入るスペースが無いと、加圧した空気がすぐ無くなってしまって圧力が弱まってしまいます。


ポンピングについては、機種によってまちまちで、数十回でOKなものから、150回以上必要な物まで様々です。ガスランタンは、最初からガス缶内で圧力がかかっているので、ポンピング不要ですが、灯油やガソリンなどの液体燃料を使う機種にとっては必須の手順です。
ポンピング前の注意点としては、バルブや燃料口キャップなどがしっかり閉まっているか確認することです。バルブやが開いた状態で加圧すると、液体の燃料が吹き出しますし、燃料口や圧力バルブが閉まっていないといくらポンピングしても加圧されません。
私も、バルブの確認を怠り、灯油を吹かしてしまって、そこら中が灯油だらけになってタイヘンな思いをしたことがあります。

プレヒートについては、最近のガソリンランタンはプレヒート無しでも着火可能な機種が増えてきましたが、灯油ランタンでは必須です。ガソリンランタンなどでも、コールマンの286Aや290Aなどは、着火時にバルブを少し開けて着火し、種火状態にしてからバルブを全開にする必要がありますが、これは簡易のプレヒートを行っている状態です。ガソリンは灯油に比べて気化しやすいので、このような簡単なプレヒートで着火可能です。
さて、バーナーも含め、灯油を燃料に使う加圧式のものは、このプレヒートが一番気を使う作業です。プレヒートが充分でないと、灯油が十分に気化せず、ランタン全体が燃え上がったりします(炎上)。

HK500の予熱バーナー

パープル・ストーブの予熱バーナー

プレヒートの方法ですが、ペトロマックスのHK500や武井バーナーのように、プレヒート用に予熱バーナーが付いている製品と、アルコールを使ってプレヒートするための皿が付いている製品があります。予熱バーナーは、液体の灯油を小さなノズルから霧状に噴き出し、これに点火することでジェネレーターを予熱することができます。但し、この方法は常に圧力がかかった状態にする必要があるため、予熱バーナーを使っている間はポンピングし続ける必要がありますので、結構大変です。また、予熱バーナーは霧状に灯油を噴いているので、煤が溜まりやすいのも欠点です。そこで、予熱バーナー付きの製品でもアルコール用のプレヒート皿が付いているので、私はアルコールを使ってプレヒートをします。時間はかかりますが、こちらの方が色々と楽です。


プレヒート時間ですが、気温が高い時は良いのですが、10度以下になるような冬場は2倍程度のプレヒート時間が必要となります。アルコールで予熱する場合は、1回の予熱では足りず、2~3回必要になります。その場合は、必ず火が完全に消えてから継ぎ足しましょう。私は、点火中に強引にアルコールを追加したため、ボトル内にまで引火して爆発的にアルコールが噴き出して、辺りが火の海になったことがあります。幸い火事にはなりませんでしたが、キャンプチェアの座面が燃えて1脚ダメにしてしまいました。もしも、燃えたアルコールがテントにかかっていたらと考えると、背筋が寒くなったのを今でも覚えています。
尚、プレヒートに使うアルコールは、ドラッグストアなどでも売っている燃料用アルコールを使用します。燃料用アルコールは、サイフォン式コーヒーメーカーなどのアルコールランプ用途ですので、安くて手に入りやすいのでお勧めです。



さて、充分にプレヒートできていれば、あとはバルブを開くだけで点火します。
プレヒートのアルコール燃料がまだ燃えている状態でバルブを開けば、それに引火して簡単に点火させることが出来ますが、火が完全に消えてしまっていると、マッチなどで点火する必要があります。

消火について

加圧式ランタンの消火方法は2種類あります。燃料バルブを閉めるだけで良いものと、燃料バルブは開けたままで、圧力バルブを開けてタンク内の圧力を抜いて消火するタイプがあります。たいていのランタンは、燃料バルブを閉めて消火しますが、HK500は圧力バルブを開けて消火します(武井バーナーも同様)。

圧力計の右の丸いつまみが圧力バルブ

これは、ジェネレーター内の気化した灯油を抜くためで、灯油が残っていると、次回の使用時の不完全燃焼につながるためです。
ちなみに、バルブを閉めるだけで消火できるタイプのランタンでも、消火後はタンク内の圧力を抜いておきましょう。不用意にバルブを開けてしまったりすると燃料が吹き出すためです。

消火後の処置について

消火後、ランタンを持って帰る時ですが、余った燃料は完全に抜いたほうが良いです。私が何回かやった失敗は、圧力バルブを開けて消火した後、持って帰る時に燃料バルブを閉め忘れて圧力バルブだけ閉めてしまったため、車の中で灯油が噴き出してしまったことです。後片付けがタイヘンですし、帰りに灯油のニオイが車内に充満すると、せっかくのキャンプ気分が台無しです。
タンク内の圧力は、気圧や温度によって容易に変わりますので、バルブが空いていると燃料漏れにつながります。圧力バルブを開けていても噴いたことがあるので、やはり燃料は空の状態で持ち運び、使う時に入れる方が安全です。
これは、ガソリンランタンも同様です。

灯油は安全か?

灯油は、ガソリンに比べて安全と言われますが、これは引火点が約40度とガソリンの-40度に比べてはるかに高いためです。引火点とは、気化した燃料が空気と混ざった状態で、火を近づけると燃え上がる最低温度のことです。揮発性に関しても、ガソリンに比べて灯油は揮発しにくいため、燃料を携行する上でも安全です。
※40度以下でも揮発しますので、携行には燃料用の携行缶を使用してください。

以上、加圧式ランタンの正しい使い方でした。

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