CX-8のクルージング&トラフィック・サポート徹底リポート

2023年6月21日

コラム

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愛車のCX-8を、4月に最新のグランドジャーニーに買い替えた私。

※詳細はこちらをごらんください


先日1200kmほど走った際、クルージング&トラフィック・サポート(CTS)について色々試してきましたので、レビューしたいと思います。


マツダのクルージング&トラフィック・サポートとは

クルージング&トラフィック・サポート(CTS)は、前走車追従走行(オートクルーズコントロール)とレーンキープアシストを合わせた機能です。

下記は、マツダによる解説です。

CTSは、高速道路や自動車専用道路で渋滞した時に運転疲労を軽減するための追従走行機能とステアリングアシスト機能で構成されているシステムです。

このシステムは、運転者がアクセルペダルやブレーキペダルを踏まなくても、設定した速度で前方車との車間距離を一定に保つ追従走行を行ないます。さらに、ステアリングアシスト機能では、車線を検知している場合は、車線に沿った走行をアシストし、車線を検知していない場合は、前方車の走行軌跡に沿った走行をアシストします。

以前のマツダ車も、レーダー・クルーズ・コントロール(前走車追従走行)とレーンキープ・アシスト・システム (LAS) を搭載していましたが、今回のCTSはより進化したシステムとなっています。

特に、CTSのレーンキープアシスト性能が向上しており、これまでのLASは車線をはみ出しそうになるとハンドルを切って戻そうとするだけでしたが、CTSは常に車線の中央を走るよう自動で調整してくれるようになりました。

実際、LASは車線をはみ出しそうになるとハンドルを切りますが、戻さないため、車線内で蛇行してしまい、事実上使い物にならない機能でした。

CX-8を買い替える時に、馴染のディーラーで「CTSは良くなってますよ。正直LASは使い物にならなかったと思いますが、CTSは高速ではかなり楽になります。」と聞いていたので、ホンマかいなと半信半疑ながら、それならガッツリ試してやろうということで、大阪までの往復約1100kmで使ってみました。


東京-大阪間1,100km実走インプレッション

CTSは、基本的に高速道路専用の機能です。一般道は、交差点やレーンが複雑なため、CTSでは対応できません。これは、この手の機能で一番先行している日産のプロパイロット2.0でも同様です。

実際に、ちょっと一般道で使ってみましたが、交差点などで車線ラインが無い場所や、車線ラインが消えかかっているような場所では、車線が検知できず、車線の中央を維持することができませんでした。まあ、自動運転ではないのでこんなもんですね。


ということで、高速道路でのインプレッションに移ります。

自宅から大阪までは、中央道国立府中インターから圏央道経由で東名高速を使います。

高速に乗ってから、CTSをセット。車速は上限プラス10kmの90kmにセットしました。この日の中央道は、普通に流れている状況ではありますが、空いているという状態ではありませんでしたので、左車線をそのまま流すことに。

この状態では、問題無く車線中央を維持しており、意外と使えるなという印象です。追い越し車線もそれなりに車が走っている状態で、左車線は法定速度より若干遅いぐらいの速度だったこともありますが、割と安定した走りです。CTSは、あくまで運転補助のためハンズフリー運転はできません。そのため、ハンドルから手を離すと警告音が鳴ります。

車線維持についてですが、ハンドルを手で回して車線を逸脱するような動きをすると、抵抗がかかるようになっています。これによって、ドライバーのミスで車線を外すことを抑制しています。一方、車線変更については、ウィンカーを出すと、ハンドルへの抵抗が無くなり、レーン変更できるようになります。日産のプロパイロットでは、ウィンカーを出すと自動で車線変更してくれるのですが、マツダのCTSはそこまでの機能はありません。

さて、八王子ジャンクションから圏央道に向かう場面ですが、ジャンクションに入るために、手動でハンドルを切って圏央道を厚木方面へ向かいました。

圏央道は比較的空いていたので、追い越し車線と走行車線を使って走行。ここで気が付いたのが、微妙なカーブでオーバー気味に走ることです。走行・追い越し車線ともに、カーブで外側寄りを走ります。危険を感じる程ではありませんが、正直CTSを信用できない雰囲気を感じました(苦笑)。

圏央道から東名高速へは海老名ジャンクションを使うことになりますが、慢性的に渋滞なので、一旦茅ヶ崎方面へ向かい、海老名南ジャンクションから一部だけ開通している新東名に入り、伊勢原ジャンクションから東名高速へ向かいます。

海老名南ジャンクションへは、左車線からループへ入っていくのですが、ここでCTS任せにしてみたところ、全くダメでした(苦笑)。比較的ジャンクションループが大きい海老名南ですが、CTSでは車線中央を維持できず、普通に運転せざるを得ませんでした。

伊勢原から東名に入った以降は、まあこんなもんかなと思う感じで、ある程度安定して車線を維持してくれます。ただ、やはりカーブが少しきつい場面などでは、センターラインをオーバーしそうになるので、手動で戻す場面が何度かありました。

その後、渋滞なく御殿場から新東名へ。

新東名は、流石に最新の高速道路で、最高速度も120km以上を想定して設計されているだけあって車線幅も広く、CTSも安定して走ってくれます。私も、車速を上限速度に合わせてセットして走行。道路も空いていたので、楽チン・・・と思っていたのですが、CTSを信用しすぎると2度ほどヒヤッとする場面が。

トラックが多かったので、右車線を走っていたのですが、右へオーバーしそうになり、あわてて戻すことに。うーん、この手のシステムは信頼性が一番重要なので、信頼できないシステムなら切った方がマシか?

その後、豊田東ジャンクションから伊勢湾岸自動車道へ進むと、流石に交通量が多かったこともあり、一旦CTSを切って完全手動運転。その後、亀山から名阪国道を大阪方面へ進んだのですが、ここで再びCTSを使ってみたのですが・・・

名阪国道は、無料の自動車専用道路です。以前は、全区間60km制限だったのですが、現在は区間によって60~70kmに制限されています。名阪国道は、古い道路でもあるので、カーブがかなりきつい場所が多く、車線幅も狭いので、CTSにはシビアな道路です。この道路でどれぐらいいけるかと試してみたのですが、まともに車線を維持できないので、直ぐに諦めました。やっぱり、カーブがきつい場面では全く使い物になりません(苦笑)。

その後、西名阪経由で無事大阪に到着。CTSを使ってみた感想としては、新東名は使えたけど、それ以外は微妙という感じでした。


さて、帰りはほぼ同一ルートで、豊田東からは新東名を使わずに東名高速で東京へ向かいました。帰りは、亀山付近や、音羽蒲郡付近で若干の渋滞がありましたが、それ以外は普通に走行できました。

東名高速でもCTSを試しましたが、新東名同様、ヒヤッとする場面が数回ありましたので、完全に信用して走るのは危ないと感じました。


CTSとLASについて

東京大阪間をCTSをメインに使って走ってみたわけですが、ここで気が付いたことがあります。実は、旧システムのLASが残っているのです。CTSを切っても、LASが動作するのですが、それに気づかず、CTS切ってるのにハンドル動作に介入されて軽く混乱しました。

色々試して分かったのですが、CTSとLASが両方ONになっているとCTSが優先され、CTSをOFFにするとLASがONになるのです。CTSを使いたくないから切ってるのに、それの劣化版がONになるってどうなん?と思うのですが・・・

結局、LASのON/OFFボタンはこれまで同様、ダッシュボード右下にあるので、これでOFFにすることで事なきを得ました。

私は、てっきりCTSに進化したのでLASは無くなったと思い込んでいたのですが、思わぬ伏兵でした(苦笑)。


CTSは使えるか?

1,100km走ってみた感想ですが、CTSは怖いです。

精度的には、LASに比べて随分進化したと思います。ジャンクションなどでは使えませんが、それは安全の面で仕方が無いとは思いますし、3Dナビマップと連携している日産プロパイロット2.0でも対応していないので無理もないでしょう。

問題は、新東名で2回ヒヤッとしたことです。かなり安定して走れている場面では、CTSを使っていることを忘れてしまうぐらい快適なのですが、そんな時に車線を逸脱しそうになると、ドキッとします。

あくまで運転補助だというのは分かっているのですが、精度が高ければ高い程、無意識に依存してしまうので、慣れた所で意図しない動きをされるとかなり怖いです。結局、安全面では100%でなければ信用できませんので、私はCTSをこの後使わなくなりました。

自動運転は、技術的にはかなり進んできましたが、最終的には信頼性の問題になります。ジャンクションも含めて完璧に動作するようになれば、少なくとも高速道路・自動車専用道路では使えるようになるでしょうし、全ての自動車が自動運転になれば、理論上は渋滞は起こらなくなります。その点からも、私は自動運転に期待しているのですが、マツダのCTSはまだまだだと感じます。勿論、ナビ連動も無いのであくまで補助でしかないのですが、せめてレーンキープぐらいは100%の精度にならないと厳しいです。



余談ですが、世界的には自動運転技術はイノベーションの塊みたいなものなので、自動車メーカーだけでなく、世界中のテック企業やベンチャーが活動しています。日本は、遅れていると言われていますが、実証実験レベルでは自動運転は実現しており、コンシューマー向けへの展開が期待されています。日産が先行しているとは言え、プロパイロット2.0でも使える場面は限定されているので、高速道路で完全自動運転が実現するかが、今後への大きなカギを握っています。

特に、トラックについては、完全自動運転が実現すれば、ドライバー不足と運送業者の負担が軽減されるため、社会的にも大きなブレイクスルーになります。それに、一般ドライバーにとっても、時速90kmに自主規制されているトラック同士のノロノロ追い越しに遭遇してイラっとすることが無くなるのですから、大きなメリットです。

個人的には、都市近郊の高速道路に接続するようにトラック専用の中継基地を作れば、高速道路は無人トラックが走り、中継基地で人が乗り込むというような合理化が図れると思うのですが、そんな思い切った手が打てるような政治家も役人もいないのが実情です。


話をCX-8に戻しましょう。CX-8のCTSは、確かにLASから大きく進化していますので、使い方次第では運転が楽になると思います。車線を逸脱しないように、ハンドルに抵抗がかかるようになっていますから、運転補助としては役立つとは思います。

ただ、やっぱり信頼性の面では100%ではなく、たまに車線を逸脱するような動きをする(というか、カーブなどで車線中央に戻す動きが遅れる)のは怖いです。マツダも頑張っていますが、更なる開発努力が必要そうです。


余談の余談ですが、実はこれについてはAIのディープラーニングがカギを握っています。画像処理とレーダーにより、走行車両の位置を一定に保つというのは、AIが得意な分野です。AIに詳しい方ならご存じかと思いますが、amazonがディープレーサーという4輪走行のロボットとディープラーニングのAIサービスを提供しており、それを使った世界大会が開催されています。amazonディープレーサーは、自動運転を狙ったサービスですから、いずれamazonから自動車用のセンサー類とAI制御機器がセットになった後付けキットが発売されるかもしれません。

でも車検は通らないかも・・・

(;´・ω・)



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