ソレル カリブーのメンテナンス

2022年2月7日

キャンプtips 雪中キャンプ

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 雪中キャンプに欠かせないのがスノーブーツ。

スノーブーツは、防寒性に優れ、完全防水ですから、雪の中でもためらうことなくザクザク歩いて行けます。


スノーブーツで一番ポピュラーなのが、ソレルカリブー

アッパーは防水加工が施されたヌバックレザーで、着脱可能な9mm厚のインナーブーツにはファーも付いており、機能性とデザインを両立したスノーブーツです。


ソレル カリブー インナーを外した状態


アッパーのヌバックレザーは、防水加工されているとは言え革製品ですから、メンテナンスが必要となります。また、ゴム製のラバーボトムも、定期的にメンテナンスすることで、ブーツの寿命を延ばすことができます。


では、カリブーのメンテナンス方法について、詳細に説明しましょう。


アッパーのメンテナンス

ヌバックレザーは、牛革の表面をサンドペーパーなどで毛羽立たせたレザーです。起毛と言っても毛足は短く、皮が厚くて耐久性が高いのが特徴です。

メンテナンスは、ブラッシング保革クリーム防水スプレーの順に行います。


ブラッシング

ヌバックレザーは、短い毛足により汚れが革の奥まで浸透しにくいのが特徴です。一方、毛足の間に汚れが溜まりやすいのが欠点です。そこで、先ずはブラッシングによって汚れを落とす必要があります。


ヌバックレザーを馬毛のブラシで磨く


ブラッシングに使うブラシは、馬毛がベストですが、ナイロンでもOKです。全体をブラッシングすることで、毛足の間に入り込んだ細かい砂や汚れを掻き出します。


泥などの付着汚れがある時は、一旦水洗いしてよく乾かしてからブラッシングします。汚れが酷い場合は、バケツに少量の中性洗剤を入れて洗います。この時、バケツの中は軽く泡立っているけれど、靴を擦っても泡立たない程度が丁度良いです。洗剤が濃いと、後で洗剤を洗い落とすのが大変になるためです。


保革クリームを塗る

革製品を長持ちさせるポイントは、この保革クリームにあります。クリームを塗って適度にオイル成分を補給してやることで、革が硬くなったり、変形したりすることを防止します。


コロニルの1909 シュプリームクリームデラックス


私のおすすめは、コロニルの「1909 シュプリームクリームデラックス 」です。良く伸びて、皮革への浸透も良いので、ヌバックレザーだけでなく、多くのレザー製品に使えます。


コロニルの1909 シュプリームクリームデラックス の中身
まるでコラーゲンゲルのようなコロニルの1909。


注意点として、ミンクオイルは使わないことです。ミンクオイルも、保革性に優れていますが、革が柔らかくなりすぎるため、ブーツなどには向きません。また、ヌバックレザーだと変色しやすいので、カリブーに使うのは止めておいた方が良いです。


ミンクオイル
ミンクオイルは、一般的な革靴や革手袋には向いているが、ヌバックレザーのブーツには向かない。


塗り方ですが、指の先に少しだけとって、できるだけムラにならないように塗り広げていきます。


保革クリームを塗る


均一に塗り広がったら、余分なクリームを布で拭き取ります。1909は、浸透が早いので、ブーツのパーツ毎に塗り拡げとふき取りの作業を行っていくのがコツです。


ブーツのDリング周りに保革クリームを塗る


靴紐を通すDリングを留めている部分などは、力がかかって痛みやすい部分ですから、丁寧に塗り込んでおきましょう。


ブーツの継ぎ目の縫い目に保革クリームを塗り込んでいる


余分なクリームを布で拭き取る


縫い目の部分は、少し多めに塗ってしっかりと塗り込みます。カリブーは、継ぎ目も裏からゴムで目止め処理されていますから、防水の意味ではクリームを塗り込む必要はありませんが、縫い目は革に負担がかかり破損しやすい部分ですから、保護の意味でよく塗り込んでおきます。


裏からゴムでしっかりと目止めされているレザーとラバーの継ぎ目部分
裏からゴムでしっかりと目止めされている。


防水スプレーを塗る

保革クリームを塗って、半日ほど陰干ししたら、仕上げに防水スプレーを塗ります。

防水と言っても、本格的な防水効果があるのではなく、撥水(水をはじく)することで、革に水が浸透するのを防ぎます。


ロックタイトの超強力防水スプレー多用途


私が使っているのは、ロックタイト超強力防水スプレー多用途です。ロックタイトの防水スプレーには、革製品に使えない物や、革用でも艶出しを兼ねた物などがあるので、必ず「多用途」を選んでください。


使い方は、靴に手を入れて持ち、20cmほど離してスプレーします。

やりすぎは禁物ですから、全体にスプレーがかかればOKです。


防水スプレーを吹き付けている


注意点としては、防水スプレーにはベンジンなどの溶剤が含まれており、これがラバーボトムを溶かしてしまうため、なるだけボトムにかからないようにすることです。ただ、かかっても直ぐには溶けないので、スプレーを吹き終わったら、速やかにアルコールティッシュなどで拭き取ってください。


吹き終わったら、30分ほど乾燥させてメンテナンス終了です。


メンテナンスが終了したソレルのカリブー


ラバーボトムのメンテナンス

カリブーのボトム素材は、ゴム製です。ソレルだけでなく、L.L.Beanのビーンブーツなど、アウトドア向けのブーツでよく使われています。

ゴム素材は、水分や紫外線に弱く、経年劣化は避けられませんが、メンテナンス次第ではかなり寿命が違ってきます。


KUREのクレポリメイトDX


私がおすすめするのが、KUREの「クレポリメイトDX」です。これは、自動車用のラバークリーナー兼保護剤ですが、ブーツのラバーボトムにも最適です。

クレポリメイトDXは、シリコンオイルと高分子ポリマーを主成分としており、ゴムの表面をコーティングすることで水分や汚れから保護してくれます。UV吸収剤も含まれているため、紫外線対策にもなります。


ブーツのラバー部分にクレポリメイトDXを吹き付けている


スプレータイプではありますが、ガスが入っているタイプではないので、5cmぐらいの距離から吹き付け、布で全体に塗り拡げていきます。黒いラバー部分だけでなく、白いラインのパーツもゴム製ですので、しっかりと塗っておきます。


クレポリメイトDXは、艶出し効果もあるので、仕上がりもキレイです。


左がクレポリメイトDXを塗った後、右が塗る前
左がクレポリメイトDXを塗った後、右が塗る前。


注意点ですが、ソールには塗らないでください。主成分のシリコンオイルによって、滑りやすくなってしまい危険です。


ラバーボトムが固くなってしまった時の対処方法

クレポリメイトDXは、表面保護だけですので、長期間経ってゴム自体が劣化してくると効果がありません。いくらメンテナンスしていても、経年劣化でつま先などのラバー部分が固くなってきます。そのまま放置しておくと、最悪ラバーがひび割れてしまうので、そうなる前にゴムの弾力を取り戻すメンテナンスが必要となります。


そこで使うのが、KUREラバープロテクタントです。


KUREのラバープロテクタント
出典:呉工業株式会社


これは、自動車のドア部分のゴムや、エンジンルーム内のゴムパーツなどに使用するもので、成分がゴムに浸透することで、固くなったゴムを柔らかくしてくれます。

注意点としては、ゴム製パーツ保護剤とありますが、硬化したゴムを柔らかくすることに重点が置かれているため、使い過ぎるとかえってラバーボトムを痛めてしまいます。

自動車に使われているゴムは、耐油性・耐摩耗性に優れるニトリルゴム(NBR)が使われていますが、カリブーなどのブーツ類は、天然ゴムやシリコンゴムが使われています。これらは、耐油性に劣るため、自動車用のラバープロテクタントを多用すると、ゴムを劣化させてしまいます。

ブーツを履く頻度にもよりますが、購入してから5年程度を目安に、ラバー部分が少し固くなったかなと思ったら使うようにしてください。塗り方は、全体を軽く均一に塗ったら1日放置して、柔らかさが戻っていないようなら追加で塗るという感じです。


メンテナンスのスケジュール

以上に挙げたメンテナンス方法ですが、毎回行う必要はありません。

シーズン中は、使用後に軽い水洗いとブラッシングで汚れを落とし、しっかり乾燥させるだけで大丈夫です。防水スプレーとクレポリメイトDXは、雪中キャンプ3~4回(10泊程度)に1回を目安に行いましょう。

保革クリームは、塗りすぎるとかえって革を痛めることになりますから、基本的にはシーズン終了時に行う程度で十分です。ただ、使用中に水で長時間濡れてしまった場合や、洗剤で洗った場合は、塗ってください。

シーズン終了時には、よく水洗いして汚れを落とし、上記のメンテナンスを行います。アッパーについては、防水スプレーのみ不要です。防水スプレーは、長期間経つと撥水効果が落ちますから、これだけは使用直前に行った方が良いです。


ブーツの保管方法

ソレルのカリブー


メンテナンス方法を一通りご紹介しましたので、保管方法もご紹介しておきます。

シーズン終了時のメンテナンスが終了したら、できるだけ温度が低く、湿度の低い場所で保管します。元箱に入れても良いですが、型崩れしないように新聞紙などを詰めておきましょう。

ヌバックレザーは、比較的劣化に強いですが、ラバーボトムは、紫外線や湿度、高温に弱いため、家の中でもできるだけ温度差が少なく乾燥した場所で保管してください。屋根裏部屋や屋外の物置などは、夏は高温多湿になるので絶対に避けましょう。



以上、カリブーを題材に、スノーブーツのメンテナンス方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

雪国の方なら、数年で履きつぶしてしまうかもしれませんが、普段雪の降らない地域に住んでいるキャンパーにとっては、スノーブーツは年に数回しか使わないので、一層メンテナンスと保管が重要になります。

しっかりとメンテナンスしていれば、10年以上使うことができますので、是非とも10年を目指してください。



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