ダイソーのアルコールストーブは使えるのか!?

2022年4月21日

100円ショップ topics バーナー

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アルコールバーナー(アルコールストーブ)は、ガスバーナーやガソリンバーナーに比べて火力が弱く、火力調整も難しいため、本格的な調理には向きません。しかし、構造が単純で、非常にコンパクトかつ軽量ということもあり、登山などでは愛好者の多いバーナーでもあります。



アルコールバーナーは、形状が非常に単純なため、ドリンク剤などのアルミ缶を使用して自作することも可能ですが、ダイソーでも売っています。


ダイソーのアルコールストーブ

フタに貼られている注意書きシールは、使用前に剥がしておく。


ダイソーのアルコールストーブは、大・小2つの大きさがあり、大が80ml、小が40mlの燃料を入れる事が可能です。価格は大が300円(税込み330円)、小が200円(税込み220円)ですから、自作する手間を考えると、買っても損は無い値段です。



形状は、ドリンク剤のアルミ缶などを使って自作した物に近く、円形の缶の中に漏斗状のパーツがはめ込まれており、周囲に穴が空いているだけという単純な構造です。



裏返すと、十字の凹みが作られており、これによって漏斗状のパーツと底の間に隙間を作り、漏斗内部で気化したアルコールが孔から噴き出ることで火力を高める構造になっています。



何れもねじ込み式のフタが付いており、幅の太いパッキンが入っているので、アルコールを入れたままフタをしても、漏れることはありません。



トランギアやソロストーブのアルコールバーナーは、フタにOリングが入っていますが、閉まりが悪いため、アルコールを入れたままにしておくと、僅かに漏れます。


ソロストーブのアルコールバーナーのフタ。太いOリングが入っており、密閉力が高そうに見えるが、アルコールを入れたまま長時間放置しておくと漏れる。


チャック付き袋などに入れておくと判りやすいのですが、気化したアルコールが少しづつ漏れ出し、袋の中に漏れ出したアルコールが溜まります。

ダイソーのパッキンは、シリコン製で密着度が高いため、チャック付き袋に入れてテストしてみましたが、全く漏れませんでした。



これは、地味にありがたいスペックです。アルコールストーブは、フタをして消火しても、本体がかなり高温になっているため、そのまま放置すると中のアルコールがどんどん蒸発してしまいます。消火後に余ったアルコールを燃料ボトルに戻してもよいのですが、高温の状態で作業するのは火傷などのリスクがあるため、できるだけ避けたいところです。また、燃料用アルコールは、毒性の強いメタノール(メチルアルコール)が主成分ですから、吸引したりすると人体に悪影響を及ぼします。そのため、消火後に放置してメタノールがどんどん蒸発するのは、よくありません。

結局、アルコールが余っても、そのまま消火せずに燃やし切っているのが実情だと思います。ですが、ダイソーのアルコールストーブは、フタの密閉性が高いので、消火後にそのままフタを閉じてしまえば、あとは本体が冷めるのを待つだけですから、手間が省けて便利です。シリコン製のパッキンも、耐熱温度180℃ですから、本体がまだ熱い状態でも安心して使うことができます。



もう一つ、良い点があります。



簡単に分解可能なのです。

アルコールバーナー使いの方は経験があると思いますが、メスティンなどで調理中に吹きこぼれると、バーナー内に吹きこぼれた汁などが入ってしまうことがあります。特に、ご飯を炊いている時には、吹きこぼれがバーナーに入ってしまうことがよくあります。

多少入ったぐらいなら、「じゅじゅ・・・パチ・・じゅっ・・パチ」と音がして炎が弱まる程度で済みますが、内部まで洗うことができないため、やりすぎると汚れが内部に溜まってしまい、火力にも影響が出ます。

その点、ダイソーのアルコールストーブは簡単に分解できるので、丸洗いが可能です。よく吹きこぼしてしまう私にとって、これは地味にありがたいです。


燃焼テスト


では、実際に使ってみて、その性能を見極めてみたいと思います。

テスト方法は、アルコールバーナーの用途として最も多い「湯沸かし」です。

ソロクッカーを使用し、カップ麺に必要な量に当たる300mlのお湯を沸かしていきます。



テスト方法としては、水温17℃の水を100℃になるまでにかかる時間を計測。

加熱は、いずれのバーナーも、コールドスタートで行いました。

比較のため、ソロストーブのアルコールバーナーも使いました。




結果は以下の通りでした。


アルコールストーブ小: 10分19秒


アルコールストーブ大:8分8秒


ソロストーブ:7分13秒


当然ですが、直径の大きな「大」の方が早く沸騰しました。

ソロストーブにはかないませんでしたが、十分な火力と言えるでしょう。



実は、バーナーの直径は、小がソロストーブとほぼ同じで、大が一番大きいのです。バーナー構造が異なるため、それが1分以上の時間差として表れていますが、この直径の大きさが火力に効いているのが分かります。


因みに、それぞれの燃焼時間は、燃料を中央の凹みいっぱいに入れた状態で、大が23分54秒、小が16分31秒でした。


箱書きにある通りのアルコールを入れると、バーナーの孔の上まで液面が来てしまうので、これぐらいが実用上の限界。


小ではやはり若干物足りませんが、大なら20分以上もちますので、1合の米を炊くのに十分な火力があります。



使用感についてですが、先にも書いた通り、自作のアルコールバーナーに近い感じです。別に悪い意味ではなく、アルコールバーナーとして十分に使えます。

ネット上では、着火時に爆発するなどという話が書かれていますが、私は何十回も点火と消火を繰り返しましたが、一度もそんなことはありません。

使い方に多少のコツが必要なのは、アウトドアメーカー製アルコールバーナーなどにも共通のことですから、品質的に劣っているということはありません。


アルコールストーブの使用上のコツ

  • 燃料は適量入れる(入れすぎない)
  • 燃料を入れる時にはこぼさないよう慎重に(こぼすと引火する)
  • 着火は、着火用ライターなどの柄の長い物を使って、ゆっくり火を近づける
  • 燃焼中は燃料を継ぎ足さない(引火して火事になる)
  • 消火は、蓋をかぶせて消火する
  • 火傷防止のために、使用時は革手袋を使用する(軍手はアルコールを吸うので使用厳禁)


ダイソーのアルコールストーブは、蓋がねじ込み式のキャップ状ですが、裏返して上から被せるように置けば消火できます。

多少の慣れが必要ですが、アルスト使いへの道を究めるためには是非とも練習してください(笑)。

勿論、危険が伴うので、無理して消火せず、使い切るのが基本です。


耐久性について

問題は耐久性ですが、流石にアウトドアメーカーの物と比べるのは無理でしょう。本体の素材はアルミで、厚みもドリンク剤等のアルミ缶と変わりませんから、踏んづけたら一発アウトです(笑)。

ただ、その分非常に軽いので、持ち運びにはとても良いです。


大が21g、小は14gと超軽量です。それに比べ、ソロストーブは真鍮製ということもあり105gもあります。



「ダイソーメスティン」との相性も良く、別売の「燃料用五徳」と組み合わせれば、UL(ウルトラライト)な調理セットが完成します。



軽登山であれば、この程度のセットでも充分ですから、燃料を入れても僅か270gのこのセットは、価値があると思います。


まとめ

以上、まとめると以下の通りです。


  • 火力は「大」は必要十分
  • 燃料を入れたまま持ち運びが可能
  • 分解できるので、汚れても丸洗いが可能
  • 軽量で、ダイソーメスティンなどとセットで使える


構造的には非常に単純で、値段相応といったところですが、フタの密閉性などが自作に比べて利便性を高めています。ただ、自作バーナーは、炎をトルネードのように巻く形に工夫した物など、更に火力を高めたものがあるので、それらに比べると明らかに物足りなさがあることも事実です。

とは言え、そこそこの性能の軽量アルコールバーナーが数百円で手に入るのですから、十分に価値はあるでしょう。


正直、遊び程度に使えれば良いかと考えていたのですが、本格的に使いたいと思える出来でした。


因みに、アルコールストーブ+メスティン+五徳+調味料入れで、1000円!!


うーん。

なんだか、高いギアを買うのがバカバカしくなってきました(苦笑)。



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