ベンチメイド グリップティリアン S30V【シースナイフに迫る耐久性をもったフォールディングナイフ】

ナイフ沼

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Benchmade(ベンチメイド)は1988年に設立されたアメリカのナイフメーカーです。タクティカルナイフと言われる、軍隊や警察向けのナイフを多く製造しており、中でもNimravus(ニムラバス)というナイフで有名です。

Nimravus(出典:ベンチメイドナイフ・ジャパン

Griptilian(グリップティリアン)は、ベンチメイドを代表するフォールディングナイフで、axis(アクシス)ロックと言うロック機構を搭載しています。


axisロックは、ベンチメイドオリジナルのロック機構で特許を取得しており、同社のフォールディングナイフに標準搭載されていることからも、蝶のトレードマークと共にアイコン的存在にもなっています。
勿論、axisロックは飾りではなく、他のフォールディングナイフとは一線を画す独特の機構から生み出されるブレードクローズ時のスムースさが、マニアならずとも心を捉えて離しません。


ブレードオープンは、サムスタッドを使う標準的なものですが、ロック時にピンがブレードタングの溝にばねの力で押し込まれる構造になっています。クローズ時には、このピンを手前に引くとロックが外れ、僅かに手首のスナップを効かすと、「コトン」というような感じでたたむことができます。ピンと聞くとヤワなイメージがありますが、五寸釘以上の太さのピンで、ブレードつけ根周りもステンレスライナーで強化されているため、高い剛性と安全性を誇っています。


グリップティリアンは、刃長85mm、刃厚3mmと、フォールディングナイフとしては標準的な長さで、ちょっとした作業から、食材を切るなどの調理までオールマイティに使える大きさです。クローズ状態では120mmと、手のひらにギリギリ収まるサイズですが、重量が110gですので、少し重さを感じます。ポケットクリップはねじ止めされており、左右に付け替えることができます。


ブレード鋼材については、私の持っているグリップティリアンはCPM-S30Vですが、他に154CMなどがあります。CPM-S30Vは、米国のクルーシブル社が開発した粉末冶金鋼で、最近の高価なナイフには良く使われている鋼材です。実用硬度はHRC58~60とやや物足りませんが、切れ味、耐食性、靭性、耐摩耗性の全てに優れる鋼材で、プライヤーメインのマルチツールで有名なレザーマンでは、フラッグシップモデルにのみ採用されています。ちなみにレザーマンでは、中級クラスでは154CM、廉価クラスでは420HCが使われています(詳細はこちら)。
余談ですが、以前(といっても10年以上前)は、米国製ナイフでも日立金属のATS-34が使われていましたが、最近はCPM-S30VやCPM-S35V、Elmaxなどの粉末冶金鋼にとって代わられた感があります。ATS-34は、今でも日本のカスタムナイフで良く使われている高級ナイフ鋼材ですが、ナイフの神様と言われるラブレスがATS-34を高く評価し、それまで使用していた154CMから切り替えたことで、米国でも有名になった鋼材です。耐食性は440シリーズなどの標準的なステンレス鋼には多少劣りますが、焼き入れによってHRC59~64という高硬度が得られるため、高い切れ味と耐摩耗性を誇り、靭性とのバランスも良いため、理想のナイフ鋼材と言われていました。しかし、最近は日本でも、ZDP189がスパイダルコに採用されていたりと、高性能ナイフは粉末冶金鋼一色になりつつあります。


ブレード形状は、ドロップポイントですがポイント付近のスパイン側にスウェッジ(刃はついていない)が入っているので、タクティカルナイフのようなデザインに仕上がっています。グラインドは、一見フラットグラインドに見えますが、鎬(しのぎ)があるので、厳密にはセイバーグラインドです。


グリップは、ガラス強化ナイロンで、滑り止め対策としてチェッカーが入っています。ブレード付け根からaxisロック周りがステンレスライナーで補強されており、それがグリップエンド近くまで通っているため、横方向やねじれに対する強度もあり、かなり堅牢な作りになっています。



グリップの形状は、全体的に膨らみのあるデザインで、握りやすさと同時に、グリップ強度にも貢献しています(ペラ板より3次元構造の方がねじれなどに強い)。

切れ味

箱出しでの切れ味には若干の物足りなさがありますが、それでも良く切れます。
段ボールなどは面白いように切れますし、フェザースティックも削りやすいです。エッジはフラットに研がれているので、セカンダリーエッジはついていますが、スカンジグラインドに近い使い心地と言えます。
粉末冶金鋼は研ぎにくい鋼材ですが、ご多分に漏れずS30Vのこのナイフも、とても研ぎにくいです。とにかく固いので、通常のナイフの3~4倍は研ぐのに時間がかかります。

耐久性


耐久性の面で言うと、耐摩耗性、耐食性は非常に高いです。特に耐摩耗性が高く、そのため研ぎづらさとトレードオフになっています。
また、ブレードが3mmとそこそこの厚みがあり、セイバーグラインドのため3mm幅がポイント近くまで維持されているので、ブレード全体の剛性が高いです。シースナイフに迫る耐久性がありますから、多少のバトニングにも耐えます。
エッジは、セカンダリーエッジがあるので、ラフな使い方にも耐える耐久性があり、刃こぼれしにくいです。

握りやすさ・取り回し


ハンドルに膨らみがあって、チェッカーも入っているので、一見握りやすく見えますが、トラクションが足りず滑りやすく感じます。実際使用しているときにそれほど滑る訳ではありませんが、ハンドル上にいくつか設けられているジンピング(滑り止め)も見かけほどのトラクションがありません。
ハンドルの形状が楕円形であるため、グリップ感に乏しく、握る感触がイマイチです。この辺は好みかもしれませんが、スパイダルコのように指の型に合わせたくぼみがあればと感じます。

使い勝手

フォールディングナイフとしての使い勝手で言うと、若干重さを感じるのと、ハンドルデザインが丸くころっとした感じなため、ズボンのポケットに入れていると若干気になります。
サムスタッドによるオープンはスムースでやりやすく、スタッドもブレードの両側に付いているので、利き手に関係なく使えるデザインになっています。





axisロックが滑らかなので、クローズもスムースですが、ブレードタング幅が無いため、親指をハンドルつけ根に置いていると指を切るので注意が必要です。まあ、これはスパイダルコを除くほぼ全てのフォールディングナイフに言えることなので、マイナスというほどではありません。




さて、オープン時ですが、サムスタッドによるオープンが基本ですが、手首のスナップで開くことも可能です。ただ、スナップアクション時の衝撃でロックピンが奥まで食い込むため、ピンが硬くて動かなくなって最初は焦りました。ピンがロック機構の溝の奥まではまっているだけなので、力を入れてピンを動かせば普通にロックを解除できますが、知らないと壊れたと思うかもしれません。

総評

グリップティリアンは、アメリカ軍御用達のナイフを作っているメーカーだけあって、フォールディングナイフとしてはかなりの強度を誇っているナイフです。ベンチメイドには、グリップをアルミにして更に強度を上げたプレシディオなどのモデルもありますが、日常やキャンプ用途であればグリップティリアンで十分です。
ブレードデザインが、若干タクティカル系のデザインになっているので好みが分かれるところではありますが、高い強度と実用性は多くのフォールディングナイフの中でもトップクラスと言えます。


また、axisロック独特のスムースなオープン・クローズは、片手で操作する上ではとても有効です。フォールディングナイフのロック機構としては、ライナーロックが一番簡単ですが、強度面に不安があります。ロックバックは、ロックバーの押す場所によっては片手で操作できない場合があります。また、ロックバックは、ロックバーをブレードタングの溝にはめる構造のため、長く使っているとロックバーがすり減ってガタが出るのですが、axisロックは構造的にもそういう心配がありません。
以上のように、グリップティリアンは、強度、耐久性の面ではシースナイフに迫るほどの性能があり、フォールディングナイフとしても高い操作性を誇るという稀有な存在と言えます。



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沼にハマると抜け出せなくなる性格の40代おっさん。関西出身で現在は東京都在住。嫁と小学生の娘の3人で年間30泊ほどキャンプに行って飲んだくれている。

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